質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第六六号

内閣参質一九八第六六号
  令和元年六月十一日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員青木愛君提出陸上自衛隊オスプレイの今後の取扱いに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員青木愛君提出陸上自衛隊オスプレイの今後の取扱いに関する質問に対する答弁書

一について

 防衛省としては、垂直離着陸機V二二オスプレイ(以下「V二二」という。)の導入に際しての一時的な処置については、様々な選択肢を検討した結果、木更津駐屯地への暫定的な配備を行いたいとの考えに至り、かかる考えを木更津市に対して説明したところであるが、今後、同市及びその住民に対する丁寧な説明を尽くしていくこととしているとおり、一方的に当該配備を決定することは考えていない。
 その上で、お尋ねの「丁寧な説明、プロセス」とは前述の同市及びその住民に対する丁寧な説明を、「事務方等」とは防衛省整備計画局防衛計画課を中心とした関係部署を、それぞれ指している。

二について

 お尋ねの「仮運用」及び「運用」とは、共に、木更津駐屯地への暫定的な配備を行った場合の陸上自衛隊としてのV二二の運用を指している。

三について

 防衛省としては、V二二の導入に際しての一時的な処置については、平成三十年十二月に、平成三十一年三月から約一年間、米国においてV二二を用いた教育訓練を行うことを公表しているところであるが、それ以外の選択肢として検討した内容については、国の機関の内部における検討に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるものであること等から、お答えすることを差し控えたい。
 なお、V二二の暫定的な配備先を検討するに当たっては、V二二の運用に必要な滑走路長を有する等の要件を満たすその他の駐屯地及び基地を検討したところである。

四について

 お尋ねの「計器飛行訓練」とは、航空機の姿勢、高度、位置及び針路の測定を計器のみに依存して行う飛行を習得するための訓練であり、「編隊飛行訓練」とは、二機以上の航空機が、隊形を整えて航行する飛行を習得するための訓練である。
 木更津駐屯地から山岳部の訓練空域までの経路に係るお尋ねについては、御指摘の「当該訓練空域までの経路に人家や学校等があれば危険を回避できない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般に、自衛隊の使用する航空機の操縦者は、航空法(昭和二十七年法律第二百三十一号)で定められた最低安全高度を遵守するとともに、気象条件も考慮しつつ、できる限り学校や病院を含む人口密集地域上空を回避しながら、安全確保に最大限配慮した飛行を行っているところである。
 空中給油訓練に係るお尋ねについては、安全を十分に確保した上でこれを実施する必要があると考えているが、V二二への空中給油自体は、多様な事態に迅速かつ大規模な輸送・展開能力を確保する上で、V二二の行動半径を拡大するものとして、その活動を支えるために欠くことができないものであると考えている。

五から七までについて

 V二二は、米海兵隊が保有している垂直離着陸機MV二二オスプレイ(以下「MV二二」という。)を陸上自衛隊向けの仕様としたものであるが、MV二二については、そもそも、平成十七年に米国政府がその安全性・信頼性を確認した上で、量産が開始されたものである。また、平成二十六年に我が国がV二二を導入することを決定した際に、その検討過程において、各種技術情報を収集・分析するとともに、平成二十八年から米海兵隊の教育課程に陸上自衛隊の隊員を派遣して行っている教育訓練において、実際に機体の操縦及び整備を行うことを通じ、V二二の安全性・信頼性を改めて確認しているところである。
 その上で、お尋ねの「騒音、低周波振動」による影響については、現時点で予断をもってお答えすることは困難であるが、MV二二の騒音について測定した結果は、木更津駐屯地において現に運用しているCH―四七輸送ヘリコプターと同程度であったところである。
 いずれにせよ、政府としては、我が国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増していることを踏まえ、V二二が島嶼防衛等に不可欠の航空機であると考えており、即応態勢を整える観点から、平成三十一年三月からの米国におけるV二二を用いた教育訓練を行った後は、速やかにこれを我が国で運用できるようにする必要があると考えている。