質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第六四号

内閣参質一九八第六四号
  令和元年六月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石橋通宏君提出我が国における難民認定の状況に関する質問に対する答弁書

一の1の(1)について

 平成三十年末時点で難民認定申請(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号。以下「入管法」という。)第六十一条の二第一項の難民の認定の申請をいう。以下同じ。)中の者の数は、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難であるが、同年末時点で入国管理局(当時)の収容施設に収容されていた者のうち、難民認定申請中の者の数は二百二十九人である。
 平成三十年末時点で難民認定申請中の者のうち、お尋ねの「仮放免中の人数」については、統計をとっておらず、お答えすることは困難であり、また、お尋ねの「申請年ごとの内訳及び国籍の内訳とその人数」については、通常の業務において集計しておらず、集計に当たっては難民認定申請の受付及び処分を行う地方出入国在留管理局等(地方出入国在留管理局及び地方出入国在留管理局支局をいう。以下同じ。)に調査を行わせ、その結果を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

一の1の(2)、2の(1)、(4)及び(6)、3の(1)、(4)及び(5)並びに4の(2)、三の1並びに四の2及び3について

 お尋ねについては、通常の業務において集計しておらず、集計に当たっては難民認定申請の受付及び処分を行う地方出入国在留管理局等に調査を行わせ、その結果を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

一の1の(3)及び(4)について

 平成三十年に難民認定申請をした者(申請時点において在留資格を有していなかった者を含む。)の申請を受け付けた地方入国管理局等(地方入国管理局及び地方入国管理局支局(いずれも当時)をいう。以下同じ。)別の数については、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。

一の1の(5)について

 平成三十年末時点で審査請求(入管法第六十一条の二の九第一項の審査請求をいい、行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成二十六年法律第六十九号)第七十五条の規定による改正前の入管法第六十一条の二の九第一項の異議申立てを含む。以下同じ。)中の者の数は、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難であるが、同年末時点で入国管理局(当時)の収容施設に収容されていた者のうち、審査請求中の者の数は三百四十八人である。
 平成三十年末時点で審査請求中の者のうち、お尋ねの「仮放免中の人数」については、統計をとっておらず、お答えすることは困難であり、また、お尋ねの「申請年ごとの内訳及び国籍の内訳とその人数」については、通常の業務において集計しておらず、これらを集計するためには、同年末時点で審査請求中の全ての者に係る関係記録の確認等を行う必要があり、その作業には膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

一の1の(6)及び(7)並びに二の1について

 お尋ねの平成三十年に処理した難民認定申請に関して、①難民として認定した者の数並びに②難民として認定しなかった者の数及び③その国籍・地域別の主な内訳並びに同年に処理した審査請求に関して、④「理由あり」とされた者の数並びに⑤「理由なし」とされた者の数及び⑥その国籍別の主な内訳は、法務省ホームページの「報道発表資料」の「平成三十年における難民認定者数等について」に公表しているところであるが、その概要をお示しすると、次のとおりである。
① 三十八人
② 一万五百四十一人
③ フィリピンが二千六百六十四人、ネパールが千七百五十九人、インドネシアが千四百八十人、スリランカが千八十人、ベトナムが九百八十一人、トルコが七百六十九人、ミャンマーが三百二十五人、カンボジアが二百七十三人、中華人民共和国が二百四十四人、インドが二百十四人
④ 四人
⑤ 六千十三人
⑥ ベトナムが千九百三十三人、フィリピンが千四百三人、インドネシアが千五十七人、ネパールが五百四十五人、トルコが二百四十一人、スリランカが百八十一人、ミャンマーが百六十七人、バングラデシュが八十二人、パキスタンが七十五人、インドが五十八人
 また、平成三十年に処理した難民認定申請に関して難民として認定した者の国籍別の内訳は、コンゴ民主共和国が十三人、イエメンが五人、エチオピアが五人、アフガニスタンが四人、中華人民共和国が四人、シリアが三人、ウガンダが一人、エリトリアが一人、ブルンジが一人、無国籍が一人であり、同年に処理した審査請求に関して「理由あり」とされた者の国籍別の内訳は、イランが三人及びコロンビアが一人である。

一の1の(8)、2の(2)並びに3の(2)、二の2及び3、三の2から4まで、五の2及び3並びに六について

 お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

一の2の(3)及び九の1について

 御指摘の「いわゆる「新しい形態の迫害」」に係る御指摘の「仕組み」の内容については、難民審査参与員からの提言や諸外国の実例なども参考にしながら、現在においても引き続き検討中であり、この「いわゆる「新しい形態の迫害」」を受けたことを理由に平成三十年に難民の認定を受けた者はいない。

一の2の(5)について

 お尋ねの「期間」については把握しておらず、お答えすることは困難であり、また、御指摘のような統計をとることは、現時点では考えていない。

一の2の(7)について

 お尋ねの「許可理由」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

一の3の(3)について

 平成三十年の難民認定申請について、地方入国管理局等においてD案件(難民認定事務取扱要領(平成十七年五月十三日付け法務省管総第八百二十三号法務省入国管理局長通知)に「D案件」として記載されているものをいう。以下同じ。)として振り分けられた案件のうち、D案件以外に振り分け直された案件があることは把握しているが、その件数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

一の3の(6)について

 御指摘の「入国管理局長(当時)が請訓不要としてあらかじめ振り分け先の類型を指定した後」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

一の4の(1)について

 平成三十年に難民調査官が行った入管法第六十一条の二の十四第一項に規定する事実の調査において、難民認定申請をした者に対する事情聴取に当該申請者以外の者を立ち会わせた事案があることは把握しているが、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

一の4の(3)について

 平成三十年に難民不認定処分をした者のうち、難民調査官が行った入管法第六十一条の二の十四第一項に規定する事実の調査において、難民認定申請をした者に対する事情聴取を行わなかった事案があることは把握しているが、その件数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

一の5について

 出入国在留管理庁において把握しているところでは、難民不認定処分取消請求訴訟及び難民不認定処分無効確認請求訴訟について、平成三十年に提起された件数は二十件、同年に終局裁判がなされた件数は第一審、控訴審及び上告審の合計で八十一件である。
 また、同年において難民不認定処分取消請求訴訟、難民不認定処分無効確認請求訴訟又は難民認定義務付け訴訟における国の敗訴が確定した事案については、確定後、いずれについても難民の認定が行われた。

二の4及び5について

 お尋ねの件数はいずれも零件である。

二の6について

 お尋ねの各事項については、現時点で集計しておらず、これらを集計するためには、平成三十年に行われた全ての審査請求手続に係る関係記録の確認等を行う必要があり、その作業には膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

四の1について

 お尋ねについては、申請の処理に要した期間を除いて現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。
 お尋ねの申請の処理に要した期間については、これを把握するためには、個々の事案ごとの処理期間を調査する必要があり、そのための作業が膨大となることから、お答えすることは困難であるが、難民認定事務取扱要領において、原則として七日以内に処理することとしている。

四の4について

 御指摘の「国際空港」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年に出入国港で我が国への上陸を拒否された者については、法務省ホームページの「報道発表資料」の「平成三十年における外国人の上陸拒否について」において、①外国人の上陸拒否数、②その国籍・地域別の内訳及び③その出入国港別の内訳を公表しているところであるが、その概要をお示しすると、次のとおりである。
① 九千百七十九人
② 中華人民共和国が二千九十二人、タイが千三百七人、インドネシアが九百九十人、大韓民国が七百十五人、トルコが五百八十三人、フィリピンが四百五十三人、スリランカが三百三十四人、台湾が三百三十三人、ネパールが三百九人、ベトナムが二百八十四人、その他の国籍・地域が千七百七十九人
③ 成田空港が五千六十五人、関西空港が千四百四十一人、羽田空港が千百七十八人、中部空港が六百九十六人、福岡空港が二百十八人、その他の出入国港が五百八十一人
 なお、②のうちの「その他の国籍・地域」及び③のうちの「その他の出入国港」の内訳については、現時点で統計として整理されたものはなく、改めてこれらを精査して集計するためには、平成三十年に出入国港で我が国への上陸を拒否された者に係る関係記録の確認等を行う必要があり、その作業には膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

五の1について

 出入国在留管理庁の収容施設に収容されている者の数は、令和元年六月三日時点で千三百二人である。その余のお尋ねについては、お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

七について

 お尋ねについては、現時点で集計しておらず、集計に当たっては国費送還をされた者ごとに過去の全ての記録を精査するなどの作業に膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。

八の1について

 平成三十年度において、難民認定申請をしている者のうち生活に困窮するものに対する支援としてする保護費の支給(以下「保護措置」という。)の申請をした者の数は、四百六人であり、保護措置を受けた者の数は、三百二十四人である。

八の2について

 外務省においては、難民認定申請者保護事業等の実施を公益財団法人アジア福祉教育財団難民事業本部(以下「委託先」という。)に委託しているところ、平成三十年度における、委託先が保護措置の申請を受け付けてから保護措置を開始して差し支えない旨の結果通知を委託先が外務省から受けるまでの期間の平均は、約三十六日である。
 また、平成三十年度における保護措置を受けた者の平均受給期間は、約十二か月である。

八の3について

 平成三十年度に保護措置を受けた者について、男女別の内訳は、男性が二百十六人、女性が百八人である。
 お尋ねの「在留資格の有無別」の「内訳」については、そのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

八の4について

 平成三十年に保護措置の申請をしたものの保護措置の開始が不適当と判断された者の数は、百三十四人であり、その国籍は、アフガニスタン、イラン、インド、ウガンダ、エチオピア、カメルーン、ガンビア、ギニア、コンゴ民主共和国、サウジアラビア、シエラレオネ、シリア、スーダン、スリランカ、中華人民共和国、チュニジア、トンガ、ナイジェリア、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、フィリピン、南アフリカ共和国、ミャンマー、モロッコ、レソト及び無国籍である。
 また、平成三十年における、委託先が当該申請を受け付けてから保護措置の開始が不適当である旨の結果通知を委託先が外務省から受けるまでの期間の平均は、約四十四日である。

八の5について

 平成三十年度において、保護措置の対象者のうち直ちに住居を確保する必要があるものに対する支援として提供している難民認定申請者緊急宿泊施設(以下「緊急宿泊施設」という。)を利用した者の数は、二十一人であり、その男女別の内訳は、男性が十四人、女性が七人であり、国籍別の内訳はアンゴラが一人、エチオピアが三人、ガーナが一人、カメルーンが五人、コンゴ民主共和国が七人、チュニジアが三人、リベリアが一人である。
 また、保護措置の申請から緊急宿泊施設の利用開始までの平均日数は約四日、最短日数は零日、最長日数は十日である。

八の6について

 緊急宿泊施設の提供は、実務上、委託先が、保護措置の開始に係る判断のために必要な調査を実施する中で、直ちに住居を確保する必要があると考えた保護措置の対象者に行っているものであり、御指摘の「入居申請書」は、委託先が緊急宿泊施設への入居を許可する見込みである者に対して、緊急宿泊施設への入居希望を確認するために記入を求めている書面であるにすぎず、先の答弁書(平成三十年六月二十六日内閣参質一九六第一四〇号。以下「前回答弁書」という。)七の5についてで述べたとおり、緊急宿泊施設は、保護措置の対象者による入居に係る申請に基づき入居させるものではない。

八の7について

 お尋ねの平成三十年度の支給額は、①保護費が一億二千六百八十五万五千六百十円、②生活費が七千八百十八万三千九十七円、③住居費が四千四十五万三千三百十七円、④医療費が八百二十一万九千百九十六円である。
 また、緊急宿泊施設の予算額は、平成二十九年度は二百四万七千六百八十円、平成三十年度は二百九十五万四千八百八十円であり、執行額は、平成二十九年度は三百四十七万三百八十二円であり、平成三十年度は三百十万七千百三十五円である。

八の8について

 緊急宿泊施設の所在地については、難民認定申請者の安全に配慮するとの観点から、政府としては、従来から、これを明らかにすることは差し控えてきているところである。

九の2について

 平成三十年に地方入国管理局等における振り分けの段階で明らかに濫用・誤用的な申請と判断されたB案件又はC案件(難民認定事務取扱要領に「B案件」又は「C案件」として記載されているものをいう。以下同じ。)の数は、B案件が千八百二十五件であり、C案件が四百八十六件である。

九の3及び4について

 お尋ねの「「真の難民」の庇護の実現は、現時点でどの程度達成されていると考えているか」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成二十七年九月に公表された「難民認定制度の運用の見直しの概要」を踏まえ、例えば、難民の認定又は難民不認定処分がなされた事例の公表の拡充、人道配慮による在留許可がなされた事例の公表及びそれらの事例の判断のポイントの公表並びに難民調査官及び難民審査参与員の増員といった取組により、「保護対象、認定判断及び手続の明確化」及び「難民認定行政に係る体制・基盤の強化」を図るとともに、案件の内容を早期に見極め、案件の内容に応じた適正な審査を実施することにより、また、就労等を目的として申請を繰り返す者に対しては、就労や在留を許可しない措置を講ずることにより、真に庇護を求める者を迅速かつ確実に保護することに努めてきたところである。しかしながら、難民認定申請数は増加し続け、その申請の中には、明らかに難民と認められない事情を理由とするものが相当数存在し、真に庇護を求める者の迅速な保護に支障を生じたため、平成三十年一月十五日に「難民認定制度の運用の更なる見直し」を行った。
 このような取組の結果、平成三十年の難民認定申請数は、平成二十九年の一万九千六百二十九人から一万四百九十三人へと同年と比べてほぼ半減した一方で、平成三十年の難民認定数は、平成二十九年の二十人から四十二人に倍増しており、これまでのところ、濫用・誤用的な申請を抑制し、真の難民の迅速な保護を図るという目的にかなう一定程度の効果を上げていると考えているが、引き続き、難民認定制度の濫用・誤用に対する措置を確実に講じて、真に庇護を求める者を迅速かつ確実に保護することに努めてまいりたい。

十の1について

 難民認定制度運用の見直し状況検証のための有識者会議(以下単に「有識者会議」という。)は、平成三十年十月三十一日に第二回の検証結果を公表したところ、その検証の対象は、B案件又はC案件として振り分けられ、平成二十八年七月から同年十二月までに難民認定手続が終了した三百六十七件の案件のうち、有識者会議の各委員がそれぞれ抽出した三十件であり、当該三百六十七件の案件の難民認定申請者の国籍別の内訳及び当該三十件の案件の難民認定申請者の国籍別の内訳については、それぞれ前回答弁書十二の1についての第二段落でお答えしたとおりである。

十の2について

 有識者会議の委員による会議は、平成三十年度に一回開催された。

十の3について

 平成三十一年四月一日以降、有識者会議の委員による会議は開催されておらず、また、今後の開催は未定である。

十一について

 お尋ねの「在留特別許可件数」及び「不許可件数」の意味するところが必ずしも明らかではないが、入管法第五十条第一項の規定による在留特別許可(以下「第五十条許可」という。)に関するお尋ねであれば、平成三十年における第五十条許可の件数については、現在集計中であり、現時点でお答えすることは困難である。他方、第五十条許可は申請に対する処分ではないため、第五十条許可を付与しない場合に不許可処分がなされるものではなく、お尋ねの「不許可件数」についてお答えすることは困難である。
 また、第五十条許可を受けた者に関し、男女別や日本人配偶者の有無の内訳については、集計を行っておらず、お答えすることは困難であるが、国籍・地域別の内訳については、法務省ホームページの「出入国管理(白書)」の「平成三十年版「出入国管理」」において、平成二十七年から平成二十九年までの各年の件数を公表しているところであるが、その概要をお示しすると、次のとおりである。
 平成二十七年 フィリピンが五百十七件、中華人民共和国が三百九十三件、韓国・朝鮮が二百二十二件、ベトナムが八十四件、タイが百四件、その他の国籍・地域が七百三件
 平成二十八年 フィリピンが四百十三件、中華人民共和国が二百八十四件、韓国・朝鮮が百六十六件、ベトナムが八十四件、タイが七十九件、その他の国籍・地域が五百二十六件
 平成二十九年 フィリピンが二百七十件、中華人民共和国が二百十件、韓国・朝鮮が百二十五件、ベトナムが百一件、タイが七十二件、その他の国籍・地域が四百七十七件
 なお、これらの「その他の国籍・地域」の内訳については、現時点で統計として整理されたものはなく、これらを集計するためには、平成二十七年から平成二十九年までの各年において第五十条許可を受けた者に係る関係記録の確認等を行う必要があり、その作業には膨大な時間を要することから、お答えすることは困難である。
 さらに、平成二十三年から平成二十九年までの第五十条許可の件数が減少傾向にあることは御指摘のとおりであるが、その理由については、様々な要因が考えられるため、一概にお答えすることは困難である。