質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第五五号

内閣参質一九八第五五号
  令和元年五月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出誰もが活躍し、働き続けられる社会・職場づくりの促進・推進に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出誰もが活躍し、働き続けられる社会・職場づくりの促進・推進に関する質問に対する答弁書

一について

 女性の職業生活における活躍を更に推進するため、現在国会で審議中の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)において、一般事業主行動計画の策定が義務付けられる事業主の範囲を常時雇用する労働者の数が三百人を超える事業主から百人を超える事業主に拡大することとしている。
 一般事業主行動計画の策定の負担等を考慮し、改正法案第二条の規定による改正後の女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)においても、引き続き一般事業主行動計画の策定が努力義務となっている常時雇用する労働者の数が百人以下の事業主についても、一般事業主行動計画の策定が進むよう、また、各事業主において一般事業主行動計画の策定等を通じて実効性のある取組が実施されるよう、引き続き各事業主に対して、説明会の実施や両立支援等助成金の支給等の必要な支援を実施してまいりたい。

二について

 御指摘の「年齢にかかわりなく働き続けられる社会の実現に向けた環境の整備」については、「働き方改革実行計画」(平成二十九年三月二十八日働き方改革実現会議決定)において「六十五歳以降の継続雇用延長や六十五歳までの定年延長を行う企業への支援を充実し、将来的に継続雇用年齢等の引上げを進めていくための環境整備を行っていく」こと等を決定しており、具体的な取組としては、継続雇用延長等を行う企業に対する六十五歳超雇用推進助成金の支給等により、企業への援助等を行っており、加えて、現在、七十歳までの就業の機会の確保に向けた検討を進めているところである。
 また、御指摘の「障がい者の職場定着」については、障害者就業・生活支援センターにおける障害者の就業面及び生活面に関する一体的な支援や障害者本人に対する職場でのコミュニケーション能力の向上のための支援等を行う職場適応援助者の育成の推進等により、その支援の充実・強化を図っているところである。

三について

 御指摘の「男性の育児参加」については、男性の育児と仕事の両立を積極的に推進・支援する企業等の表彰や好事例の周知・広報等を通じて男性の育児休業取得促進に向けた機運の醸成を図る「イクメンプロジェクト」を実施している。
 また、御指摘の「介護休業等の制度の拡充」については、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第十一条等において、介護休業の分割取得を可能にする等の措置を講じたところであり、制度の周知徹底に努めているところである。
 さらに、御指摘の「治療しながらでも働き続けられる休暇・短時間勤務等の制度」については、「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」(平成二十八年二月二十三日厚生労働省策定、平成三十一年三月二十八日改訂)を策定し、治療と仕事の両立支援のために利用できる休暇制度及び勤務制度の普及に努めているところである。
 政府としては、引き続き、これらの取組を進めてまいりたい。

四について

 御指摘の「ハラスメント行為を禁止」することについては、女性の職業生活における活躍の推進及び職場のハラスメント防止対策等の在り方について(建議)(平成三十年十二月十四日労働政策審議会建議)において、「現状でも悪質な行為は既存の刑法違反に該当し、または不法行為として損害賠償請求の対象となり得る中で、民法等他の法令との関係の整理や違法となる行為の要件の明確化等の種々の課題がある」として、「その必要性も含め中長期的な検討を要する」とされた。
 一方で、改正法案においては、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)等の改正により、いわゆるパワーハラスメント、セクシュアルハラスメント等の問題に関する国、事業主及び労働者の責務を定めるとともに、事業主に対してパワーハラスメントによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう相談体制の整備その他の雇用管理上の措置を義務付けること等の内容を盛り込んでおり、これらによりハラスメントのない職場づくりを一層推進してまいりたい。