質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第五〇号

内閣参質一九八第五〇号
  令和元年五月十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出子どもたち全員が健やかに育ち、公平に学べる社会の構築に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出子どもたち全員が健やかに育ち、公平に学べる社会の構築に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「保育所や放課後児童クラブ等」及び「支援の強化等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、保育及び放課後児童健全育成事業(以下「放課後児童クラブ」という。)の受皿の整備は重要と考えており、保育の受皿については、平成二十九年六月二日に公表した「子育て安心プラン」に基づき、令和二年度末までに約三十二万人分整備することとしているとともに、放課後児童クラブの受皿については、平成三十年九月十四日に公表した「新・放課後子ども総合プラン」に基づき、令和五年度末までに約三十万人分整備することとしており、これらに対応する施設整備の補助等を行っている。

二について

 お尋ねの「教育に対する公的支出割合の大幅なアップ」については、「教育振興基本計画」(平成三十年六月十五日閣議決定)において「公財政教育支出総額については、例えば、GDP(国内総生産)比で見た場合、就学前教育段階から高等教育段階までについて、OECD諸国の平均が五・三%であるのに対して我が国は三・五%(いずれも平成二十六(二千十四)年度)となっている。(中略)こうしたデータは、全人口に占める在学者数の割合、一般政府総支出の国力に対する規模やGDPの規模など様々な要素を勘案する必要があり、単純に判断することはできないが、政府においては、現下の様々な教育課題に対応し、所要の施策を講じるために引き続き必要な教育投資を確保する必要がある」としているところである。
 また、お尋ねの「高校授業料の完全無償化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、高等学校等における教育に係る経済的負担の軽減については、高等学校等就学支援金の支給に関する法律(平成二十二年法律第十八号)に基づき、教育の機会均等を保障する観点から、経済的負担を軽減する必要があると認められる者に対して就学支援金を支給しているところであり、加えて、「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(平成三十年六月十五日閣議決定)において、「家庭の経済状況にかかわらず、幅広く教育を受けられるようにする観点から、年収五百九十万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化を実現する」こととしており、これに向けた取組を進めてまいりたい。
 さらに、お尋ねの「高等教育の学費低額化」及び「給付型奨学金の拡充等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、高等教育段階における教育費の負担軽減については、令和二年四月一日から、新たに、真に支援が必要な低所得者世帯の者に対し、大学等における授業料等減免を制度化するとともに、給付型奨学金を大幅に拡充する措置を講ずることとしている。

三について

 政府としては、児童相談所の体制強化は重要であると考えており、「「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策」の更なる徹底・強化について」(平成三十一年二月八日児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議決定)において「「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」(新プラン)(二千十九年度~二千二十二年度)に基づき、児童福祉司を二千二十人程度増加等」すること、「特に、初年度(二千十九年度)について、児童福祉司を千七十人程度増加させるなど前倒しで取り組むこと」等としており、児童相談所の体制強化を図ることとしている。
 また、小学校及び中学校の学級編制の在り方については、学級規模の縮小等の取組の効果を検証しつつ、学校教育の状況や国及び地方の財政状況等を勘案した上で、教育の質の向上につながる教職員配置の適正化を計画的に行うことその他の方策について検討を行っているところであり、その結果に基づいて必要な措置を講ずるとともに、これら学校の教育相談体制の整備については、「スクールカウンセラー等活用事業」等により、スクールカウンセラー等の配置を推進しているところであり、今後とも、教育相談体制の整備を推進してまいりたい。
 さらに、お尋ねの「いじめ等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いじめの問題については、いじめ防止対策推進法(平成二十五年法律第七十一号)及び同法第十一条第一項の規定に基づき策定した「いじめの防止等のための基本的な方針」(平成二十五年十月十一日文部科学大臣決定(最終改定 平成二十九年三月十四日))に基づいて、教員の研修の充実を通じた資質の向上等の具体的な取組を進めているところであり、引き続き、いじめの防止等の対策を推進してまいりたい。

四について

 お尋ねの「義務教育における学校給食の完全実施」及び「子どもの食のセーフティネット」の意味するところが必ずしも明らかではないが、学校給食法(昭和二十九年法律第百六十号)第四条において、「義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない」と規定されていることを踏まえ、学校給食の意義等を周知することにより、学校給食の実施率の向上に努めているところである。
 また、お尋ねの「義務教育における学校給食」の「無償化」については、学校の設置者と保護者との協力により学校給食が円滑に実施されることが期待されるとの同法の立法趣旨に基づき、各義務教育諸学校の設置者において検討されることがふさわしいと考えており、政府としては、生活保護制度による教育扶助や就学援助制度による学校給食費の補助を通じた低所得者層への支援を行っているところである。
 さらに、お尋ねの「「子ども食堂」や「フードバンク」等の取組み」の「後押し」については、地域子供の未来応援交付金による地方公共団体の地域ネットワークの形成に関する取組を通じた子供食堂やフードバンクの支援、官公民が連携し、社会全体で子供の貧困対策に取り組む環境を整備するための「子供の未来応援国民運動」を通じたNPO等による活動の支援、食育推進の観点から優れた子供食堂の取組の表彰、子供食堂と地域が連携して進める食育活動や地方公共団体による支援の事例等の情報提供等の取組を行っているところである。
 これらの取組に加えて、お尋ねの「食育」の「推進」については、食育基本法(平成十七年法律第六十三号)及び同法第十六条第一項の規定に基づく「第三次食育推進基本計画」(平成二十八年三月十八日食育推進会議決定)に基づき、様々な施策を総合的かつ計画的に推進しているところである。