質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第三九号

内閣参質一九八第三九号
  平成三十一年四月二十三日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出我が国の高レベル放射性廃棄物の地層処分と「オンカロのパラドックス」、「ユッカマウンテンの正論」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出我が国の高レベル放射性廃棄物の地層処分と「オンカロのパラドックス」、「ユッカマウンテンの正論」に関する質問に対する答弁書

一について

 我が国では、千九百七十年代から長きにわたって、国内外の専門家からのレビューを受けつつ、様々な専門分野の知見を取り入れて研究を行った結果、地層処分には、地下水の動きが緩慢であることに加え、火山、活断層等の影響を受けにくい、長期にわたって安定した地下環境が必要であることが確認され、同時に、我が国にもそうした地下環境が広く存在すると考えられるとの評価が得られている。

二について

 お尋ねの「オンカロと同一又は同程度の地質環境やユッカマウンテンと同一又は同程度の地理・気象環境」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「科学的特性マップ」及び「包括的技術報告:わが国における安全な地層処分の実現」を策定する上で参照している「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性―地層処分研究開発第二次取りまとめ―」においては、地質環境の長期安定性に影響を及ぼす天然現象について、「各国においても、自国の地質学的な特徴や自然環境条件を考慮して、検討の対象とすべき天然現象を抽出している」とし、北欧などにおいて地層処分を行う上で考慮すべき対象となっている氷河の影響については、温暖な地域である我が国では対象とせず、「地震・断層活動」や「火山・火成活動」等を考慮すべき項目として抽出しているところ、御指摘の「科学的特性マップ」等においては、これを受けて、地層処分に必要となる条件は、各地域の地下環境によって異なるものであり、我が国において地層処分を行うに当たっては、海外の特定の地域と同等の地下環境が必ずしも必要となるものではないとの考えの下で、我が国における地層処分に求められる地下環境及びより安全な地層処分の方法が具体的に示されており、例えば、我が国の「科学的特性マップ」では、地層処分を行う際に考慮すべきものとして、フィンランドで考慮している氷河の影響は含まず、「火山・火成活動」や「断層活動」等としている。