質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第二六号

内閣参質一九八第二六号
  平成三十一年四月二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員吉川沙織君提出厚生労働省関連の束ね法案に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川沙織君提出厚生労働省関連の束ね法案に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「政策が統一的なもの」に当たるかどうかについては、個々の法案に盛られる政策の内容に応じて判断されるものであると考えている。

二から四までについて

 医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律案(以下「健康保険法等改正法案」という。)は、医療保険制度の適正かつ効率的な運営を実現するため、保険者事務の適正な実施、予防・健康づくりに資する保健事業の充実及び良質な医療の効率的な提供のために必要な措置を講ずるものである。具体的な改正内容としては、健康保険法(大正十一年法律第七十号。以下「健保法」という。)、船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号。以下「国保法」という。)及び高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号。以下「高確法」という。)の改正により、被保険者番号を個人単位化し、電子資格確認による被保険者資格確認の仕組みを導入することで、資格確認の効率化を図ること、健保法、社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)、国保法、高確法及び介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の改正により、医療及び介護給付の費用の状況等に関する情報について、連結して解析し、地方公共団体、研究機関等の幅広い主体に提供するための枠組みを設け、保健事業の効率化を図ること等を盛り込んでいる。また、お尋ねの「国民年金法の一部改正」については、国民年金第三号被保険者の認定は健康保険の被扶養者の認定と一体的に行っており、健康保険法等改正法案で設ける国内居住要件に係る認定も一体的に行っていく必要があることから、これにより、医療保険制度の適正かつ効率的な運営に資するものであると考えている。このため、健康保険法等改正法案に盛られた政策は統一的なものであると考えている。

五について

 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律案(以下「女性活躍推進法等改正法案」という。)は、女性をはじめとする多様な労働者が活躍できる就業環境を整備するため、各企業が、当該企業における課題を踏まえて最適な雇用管理の改善のための取組を主体的に講じることを促進する仕組みを整備し、これらの労働者がその能力を十分に発揮できるようにするものであることから、女性活躍推進法等改正法案に盛られた政策が統一的なものであると考えている。

六について

 既存の法律の一部を改正する法律案においては、改正される法律の数が三以上である場合には、題名の簡潔性の要請もあり、当該法律案の第一条で改正される法律の名称を当該法律案の題名に規定し、その他の改正される法律の名称については、題名には含めない取扱いとすることが通例である。
 なお、女性活躍推進法等改正法案に関しては、厚生労働省のホームページに概要等を掲載しており、引き続きその内容の周知等に努めてまいりたい。

七及び八について

 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律等の一部を改正する法律案は、医薬品、医療機器等が安全かつ迅速に提供され、適正に使用される体制を構築すること等を目的としている。
 覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号。以下「覚取法」という。)の改正については、医薬品として用いる覚醒剤原料の患者による携行輸出及び携行輸入に関する許可制度(以下「携行輸出入許可制度」という。)の創設等を内容としている。また、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号。以下「薬機法」という。)の改正においても、薬機法第十四条等に規定する承認等を受けない医薬品、医療機器等の輸入に係る確認制度(以下「輸入確認制度」という。)を創設することとしているところ、携行輸出入許可制度において許可を得た場合は輸入確認制度における確認を要しないこととしており、覚取法の改正と薬機法の改正は法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると考えている。
 また、輸入確認制度に違反する罪について麻薬取締官及び麻薬取締員が司法警察員として職務を行うことを麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号。以下「麻向法」という。)に規定することとしており、薬機法の改正と麻向法の改正は法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると考えている。
 安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(昭和三十一年法律第百六十号。以下「血液法」という。)の改正については、原料血漿の製造業者に対する勧告制度の創設等を内容としている。また、薬機法の改正においても、医薬品である血液製剤の安定供給の観点から、血液法上の勧告に従わなかった原料血漿の製造業者に対して業務の停止を命ずることができることとする改正を行うこととしており、血液法の改正と薬機法の改正は法案の条項が相互に関連して一つの体系を形作っていると考えている。
 また、これらの改正内容は理由において「承認等を受けない医薬品、医療機器等の輸入に係る確認制度の創設等の措置」として位置付けられているところである。