質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第一一号

内閣参質一九八第一一号
  平成三十一年二月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出内閣官房長官の定例記者会見における特定の記者の質問を制限する発声等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出内閣官房長官の定例記者会見における特定の記者の質問を制限する発声等に関する質問に対する答弁書

一から七まで、十一及び十二について

 総理大臣官邸において行われている内閣官房長官(以下「長官」という。)の定例の記者会見(以下「定例会見」という。)については、現在、内閣官房内閣広報室の上村秀紀総理大臣官邸報道室長がその司会を行っており、その主催者である内閣記者会と協力しながら、円滑な運営に努めているところである。
 定例会見においては、内閣記者会会員社の記者であれば誰でも質問することが可能であり、長官は広く質問に応じているところであるが、司会者が、長官の日程管理の観点からやむを得ず、自らの判断に基づき、適時に、記者に対し、質問を簡潔にまとめたり、質問数を絞ったりするよう協力を求める呼び掛け(以下「協力呼び掛け」という。)を行うことはある。もっとも、定例会見は内閣記者会が主催するものであり、政府として、そもそも記者に対し一方的に質問を制限することができる立場になく、また、その意図もないところであって、協力呼び掛けは、飽くまで記者に対する協力依頼にすぎず、「記者の質問権のみならず、国民の知る権利をも侵害する」及び「菅官房長官の見解とも齟齬をきたしている」との御指摘は当たらない。
 司会者が協力呼び掛けを行った回数等については記録を取っていないため、お尋ねの「当該発声を通算十回以上されたことのある記者」及び「当該対応をされたことのある記者」の人数をお答えすることは困難であるが、内閣記者会会員社である東京新聞を発行する株式会社中日新聞社の特定の記者が、必ずしも簡潔であるとはいえない質問をしたことが少なからずあり、そのような場合に、司会者が、協力呼び掛けを行って定例会見の円滑な進行に協力を求めたことがある。
 今後とも、定例会見において長官の日程管理の観点からやむを得ない場合には、司会者が、これまでと同様に協力呼び掛け等を通じて、定例会見の円滑な進行に協力を求めることはあると考えている。

八から十までについて

 定例会見は、官邸ホームページ上のインターネット動画配信のみならず、他のメディアを通じたライブ配信等も行われており、定例会見におけるやり取りは、長官の発言内容のみならず、記者の質問内容も、国内外で直ちに視聴することが可能であるところ、定例会見において、誤った事実認識に基づくものと考えられる質問に起因する記者と長官とのやり取りが行われた場合、定例会見を視聴する国内外の幅広い層の方々の事実認識を誤らせることにもなりかねず、ひいては、定例会見を行う意義が損なわれるおそれがあるとの問題意識を有しているところである。
 このようなことから、これまで、東京新聞を発行する株式会社中日新聞社の特定の記者が定例会見において誤った事実認識に基づくものと考えられる質問を行った場合などに、内閣広報官等において、同社に対し、「事実に基づかない質問は、厳に慎んでいただくようお願い致します」等の協力を依頼する旨の申入れを、累計で九回(申入れに対する同社からの回答への対応に係るものは含まない。)行い、同社から、事実に基づく的確な質問を心掛けるよう当該記者を指導していくとの趣旨の回答を繰り返し得ている。このような中、平成三十年十二月の定例会見において、当該記者が誤った事実認識に基づくものと考えられる質問を再度行ったため、同月、総理大臣官邸報道室長から、定例会見の主催者である内閣記者会に対し、右のような問題意識の共有を求めて申入れを行ったものである。もとより、当該申入れは、内閣記者会や報道機関等に対し、飽くまで協力を依頼するにとどまるものであり、これにどのように対応するかについては、内閣記者会や報道機関等において自由に判断されるものであるから、当該申入れを行ったことが「報道機関への不当な介入」及び「記者の質問権のみならず国民の知る権利をも侵害する行為」であるとの御指摘は当たらない。
 政府としては、定例会見が引き続き国民の知る権利に資するものとなるよう、今後も適切に対応していく。