質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第九号

内閣参質一九八第九号
  平成三十一年二月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出中央社会保険医療協議会で議論された費用対効果評価に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出中央社会保険医療協議会で議論された費用対効果評価に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの医薬品の費用対効果評価における増分費用効果比(以下「ICER」という。)の閾値については、平成三十年十二月五日の中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会・薬価専門部会・保険医療材料専門部会合同部会(以下「合同部会」という。)に提出された「費用対効果評価に関する検討について」にあるとおり、ICERに応じた価格調整方法として階段方式を採用する場合の幅の設定について示された、「階段の幅が大きくなるほど(階段の数が少なくなるほど)、閾値前後での価格の変動が大きくなるため、評価結果をきめ細やかに価格調整に反映させるためには幅は小さい方が望ましい」、「階段の幅が小さくなりすぎると階段方式の利点が失われる」、「オーストラリアでは、品目毎のICERは三万豪ドル(約二百四十五万円)/QALYの幅で公表されている」等の視点を踏まえ、五百万円/QALY(質調整生存年をいう。以下同じ。)と千万円/QALYの中間の七百五十万円/QALYを価格調整における新たな閾値とするという対応が考えられるとされたところである。

二について

 ICERの閾値の検討に当たっては、例えば、平成三十年六月十三日に開催された合同部会において、諸外国のICERの閾値を一人当たりGDPで除した値を日本の当該値と比較する等、諸外国との相違点も考慮されているところである。

三について

 平成二十八年度から医薬品の費用対効果評価を試行的に実施しているところであるが、これまで、合同部会では、「幾つかの品目において、企業分析の結果と再分析(公的分析)の結果が大きく異なっている」、「分析内容についての事前協議が不十分であった」、「臨床の専門家が検討する公的な体制がなかった」等の指摘があり、現在、合同部会において、「分析内容(分析の枠組み等)についての事前協議を充実させる」、「品目に応じて当該分野の専門家が分析前の協議内容や分析内容の確認等を行うことができる体制とする」等の指摘への対応が検討されているところである。

四について

 御指摘の「薬価算定における費用対効果評価の導入については、我が国の研究者においても懐疑的な意見を持つ者が多い」という事実については承知していないが、国民皆保険の持続性とイノベーションの推進を両立し、国民が恩恵を受ける国民負担の軽減と医療の質の向上を実現する観点から、医薬品の費用対効果評価については、本格実施に向けてその具体的内容を引き続き検討し、平成三十年度中に結論を得ることとしているところである。

五について

 御指摘の「政府は、薬価調整にはICER以外に評価尺度がないという主張をしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、医薬品の費用対効果評価の結果についてはICERであらわすことが一般的であると考えられているところである。