質問主意書

第198回国会(常会)

答弁書


答弁書第三号

内閣参質一九八第三号
  平成三十一年二月五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員有田芳生君提出日本海沿岸部に漂着する船舶に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員有田芳生君提出日本海沿岸部に漂着する船舶に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「漂着船等」については、船体が破損している場合等もあり、その「隻数」について正確に把握することはできないが、海上保安庁が、平成二十五年度から平成二十九年度までの間に、①北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等を確認した件数及び②このうち北朝鮮からのものと思われる木造船等が漂着したことを確認した都道府県別の内訳を年度ごとにお示しすると、次のとおりである。なお、お尋ねの「漂着船等の国籍」については把握しておらず、また、お尋ねの「漂着船等」のうち「北朝鮮の工作船と推定される船」は確認していない。また、お尋ねの平成十四年度から平成二十四年度までの「漂着船等」については、北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等の件数について網羅的な調査を行っていないことから、お答えすることは困難である。
 平成二十五年度 ①八十七件 ②北海道二件、青森県五件、秋田県七件、山形県九件、新潟県二十一件、石川県十六件、福井県一件、京都府二件、鳥取県四件、島根県十件
 平成二十六年度 ①四十四件 ②北海道二件、青森県一件、秋田県四件、山形県二件、新潟県九件、石川県十二件、福井県二件、京都府三件、兵庫県一件、鳥取県三件、島根県二件
 平成二十七年度 ①六十一件 ②北海道一件、青森県三件、秋田県四件、新潟県十二件、富山県一件、石川県九件、福井県三件、京都府二件、兵庫県一件、鳥取県一件、島根県六件、山口県一件
 平成二十八年度 ①五十件 ②北海道二件、青森県六件、秋田県三件、新潟県八件、石川県九件、福井県二件、京都府六件、島根県三件
 平成二十九年度 ①百三十件 ②北海道四件、青森県九件、秋田県十六件、山形県四件、新潟県三十件、石川県二十六件、福井県三件、京都府一件、兵庫県一件、島根県二件

三について

 お尋ねの「共通した特徴」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

四、八及び九について

 平成二十五年から平成二十九年までの間に、北朝鮮からのものと思われる漂着した木造船等からの生存者を十九名発見しており、これらの生存者については、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)等の関係法令等に基づき、適切に対応しており、生存者の処遇に係る費用については、関係機関において適切に支出している。また、平成二十五年から平成二十九年までの間に、北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等からの遺体を七十七体発見しており、これらの遺体については、一般に、行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治三十二年法律第九十三号)等の関係法令等に基づき、市町村において対応されているものと承知している。
 北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等への対応については、海上保安庁及び警察において、関係地方自治体との情報共有及び迅速な連絡体制の確保を徹底しているほか、警察庁においては、都道府県警察への支援として、警察庁・都道府県警察間の情報共有及び連携が重要であることに鑑み、都道府県警察に対して必要な調整や指導を行っている。加えて、日本海沿岸を管轄する道府県警察では、北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等に係る事案について、それぞれ事案認知時の初動対応、関係機関との連携等についての対応要領等を定めているものと承知しているが、その詳細については、今後の警察活動に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えは差し控えたい。
 また、お尋ねの「漂着船等の処分に係る費用」については、海上保安庁が確認した北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等が所有者の不明な廃棄物として扱われる場合に、その回収・処理を行う地方自治体に対し、海岸漂着物等地域対策推進事業による補助金及び特別交付税により費用の全額を支援している。
 お尋ねの「費用」の「当該国籍国」に対する請求については、個別具体的な事案に即して判断する必要があり、一概にお答えすることは困難である。

五について

 お尋ねの「漂着船等の船体に記された番号」については、関係機関において調査を行っているが、その詳細については、今後の対応に支障を来すおそれがあることから、お答えを差し控えたい。

六及び七について

 平成十四年から平成二十九年までの間に、出入国管理及び難民認定法第十八条第一項及び第二項の規定に基づく遭難による上陸の許可を受けた者の数は千七百五十五人、同法第十八条の二第一項の規定に基づく一時庇護のための上陸の許可を受けた者の数は三十五人であり、お尋ねの「本国への送還を希望する者」及び「本国からの離脱を希望する者」の人数並びに「本国からの離脱を希望した者」が渡航を希望する国・地域については統計を作成していないため、お答えすることは困難である。また、お尋ねの「対応方針」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一時庇護のための上陸の許可等を受けた者から難民認定申請があった場合には、同法に基づいて適切に対応している。

十について

 我が国に外国から船舶等が漂着した場合は、検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)等の規定に基づき、検疫所、保健所を設置する地方自治体等が連携し、漂着者の健康状態の確認等を行っている。なお、お尋ねの「対応した医療通訳者」の意味するところが必ずしも明らかではないため、その人数についてお答えすることは困難である。

十一について

 北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等に対しては、関係省庁が緊密に連携して対応することとしており、お尋ねについてお答えすることは困難である。

十二及び十三について

 お尋ねの「漂着船等の乗組員のうち、無断で日本に上陸し、そのまま日本に潜入している者」は確認しておらず、北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等がお尋ねの「北朝鮮による拉致及びテロ等の工作活動と関係している」ことは確認していない。

十四及び十五について

 警察及び海上保安庁においては、住民の安心・安全の確保のため、緊密に連携して、北朝鮮からのものと思われる漂流・漂着木造船等に対する監視体制の強化や、不審事象の通報を促すための政府広報等を活用した住民への周知等を実施している。