質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第九一号

首相面談記録の未作成に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月二十六日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   首相面談記録の未作成に関する質問主意書

 首相官邸が安倍総理と官庁幹部が面談した際などの議事概要などの打ち合わせ記録を作成していないことについて、菅内閣官房長官は本年六月三日の記者会見において、未作成を公式に認めるとともに、「(行政文書の管理に関するガイドライン(平成二十三年四月一日内閣総理大臣決定、令和元年五月一日一部改正)(以下「ガイドライン」という。)に)反しているとは思わない。適切に対応している」と述べた。これについて、以下質問する。

一 首相官邸が首相面談の記録を作成していないことがガイドラインに反していないとする根拠は何か。この政府の見解の根拠となるガイドライン及び公文書等の管理に関する法律(平成二十一年法律第六十六号)(以下「公文書管理法」という。)の該当箇所を示しつつ、説明されたい。

二 公文書管理法第四条は「行政機関の職員は、第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるよう、処理に係る事案が軽微なものである場合を除き、次に掲げる事項その他の事項について、文書を作成しなければならない。」と定めているが、官邸の打ち合わせ記録の未作成は、これに違反しないか。違反しないとする場合にはその理由を示されたい。

三 ガイドラインは、「行政機関の職員は、当該職員に割り当てられた事務を遂行する立場で、法第四条の作成義務を果たす。本作成義務を果たすに際しては、①法第一条の目的の達成に資するため、当該行政機関における経緯も含めた意思決定に至る過程並びに当該行政機関の事務及び事業の実績を合理的に跡付け、又は検証することができるようにすること、②処理に係る事案が軽微なものである場合を除くことについて、適切に判断する必要がある。」と定めているが、官邸の打ち合わせ記録の未作成は、これに違反しないか。違反しないとする場合にはその理由を示されたい。

四 ガイドラインは、「各行政機関の外部の者との打合せ等の記録については、文書を作成する行政機関の出席者による確認を経るとともに、可能な限り、当該打合せ等の相手方(以下「相手方」という。)の発言部分等についても、相手方による確認等により、正確性の確保を期するものとしている。」としているが、安倍総理と省庁幹部などが面談をした際に、首相官邸は相手方となる行政機関に打ち合わせ記録の作成について確認を求めたことがあるか。また、相手方となる行政機関より記録の作成について確認を求められたことがあるか。

五 ガイドラインを審議した元公文書管理委員会委員長代理である三宅弘弁護士による「首相面談は意思決定過程の中でも最も重要。政策や事業方針に影響を及ぼすか否かを限定的に解釈してはならない。公文書管理法四条の原則に従い作成すべきだ。未作成はガイドラインのみならず、四条にも違反している」との旨の指摘に関する報道があるが、この三宅弁護士の見解についての政府の考えを示されたい。

  右質問する。