質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第七四号

審議会等の答申や報告書等の受領拒否に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月二十四日

吉川 沙織   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   審議会等の答申や報告書等の受領拒否に関する再質問主意書

 私が提出した「審議会等の答申や報告書等の受領拒否に関する質問主意書」(第百九十八回国会質問第七〇号。以下「前回主意書」という。)に対する答弁書(内閣参質一九八第七〇号。以下「前回答弁書」という。)を踏まえ、改めて質問する。

一 政府は、前回答弁書の一についてで「調査に膨大な時間を要するため、お答えすることは困難である。」と答弁した。これは事実上の答弁拒否であるが、このような答弁をしたのは、当該事例が皆無であること又は僅少であることを認めると、麻生金融担当大臣による本件報告書の受領拒否が、我が国行政の歴史上、いかに特異な対応であるのかを露見することにもなるので、これを避けるためではないかとの疑念を持つものである。
 前回主意書の一で問うた事例は極めて特異なものであると考えられ、審議会等の事務局たる関係各府省庁が記録に留めておかない方が不自然である。そもそも国会法第七十五条第二項後段に基づき答弁を延期することもできるのであるから、質問に対して真摯に対応する姿勢が僅かでもあれば、当該事例の有無を可能な限り調査することはできたはずである。
 ここで改めて問うが、第二次安倍内閣発足後における当該事例の有無について、政府の把握するところを、当該事例における審議会等の名称、答申や報告書等の名称、大臣等が受け取らなかった理由と併せて明らかにされたい。

二 前回主意書の五において法律に基づき府省庁に審議会等を設置することの意義を問うたが、前回答弁書の五についてでは真正面から答弁していない。個々の審議会等によって根拠法の趣旨・目的や与えられた権限が異なるので、その設置意義は一様ではないことは承知している。しかし、これらに通底する考えはあるはずであり、私はそれを問うているのである。府省庁に審議会等を設置し、学識経験を有する者等の合議により調査審議等を行うことが前回答弁書の五についてで挙げられた法律に規定されている理由について、政府の見解を示されたい。

三 金融庁設置法第七条第一項第一号に基づく諮問事項について、金融審議会の下部組織が報告書等を作成し、同審議会がこれを了承した場合、当該諮問を行った大臣等が当該報告書等の受取を拒否することは法令上可能であるのか明らかにされたい。

四 金融審議会の下部組織が取りまとめた報告書等の内容に問題がある旨が同下部組織の外部から指摘されたとしても、当該指摘が適当か否かを含めて同審議会で調査審議し、同審議会が修正の要否や了承するか否かを自ら判断すればよいのであって、それこそが同審議会に期待される役割である。しかし、本件報告書について見れば、麻生金融担当大臣が本年六月十一日の記者会見において、正式な報告書としては受け取らないことを決定し、今後の政策遂行の参考とはしないこととした旨を発言したため、今後、同審議会において本件報告書が議題となる可能性は事実上潰えたことになり、同審議会が期待される役割を果たすことができなくなった。

1 麻生金融担当大臣の前記発言は、同審議会が本件報告書について調査審議し、修正の要否も含め正式な報告書とするか否かを判断する機会を奪い、同審議会の自主的かつ自律的な運営を妨げる結果となったのではないか。政府の見解を明らかにされたい。
2 同審議会の下部組織が報告書等を取りまとめ、同審議会で了承されるまでの間において、同審議会に諮問を行った大臣等が当該報告書等を正式な報告書等としては受け取らない旨の発言を行えば、同審議会が大臣等に正式な報告をすることを忌避させることができる。すなわち、大臣等は金融審議会の正式な報告書等を受け取るか否かを選択することが事実上可能となるが、これは法律の趣旨を逸脱しているのではないか。政府の見解を示されたい。

  右質問する。