質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第六七号

生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年六月六日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠に関する質問主意書

 生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠について、これまで厚生労働省は、生活保護の要件として生活保護法第四条第一項が定める稼働能力の活用をしていないからと説明してきた。また、かかる場合にいわゆる世帯内就学を認める段階に至っていない理由については、大学・専門学校等への全国平均進学率が八十%に達していないからと説明してきた(「生活と福祉」百六十九号十頁、二百十七号九頁等)。
 ところが、令和元年五月二十一日の参議院文教科学委員会において、大口善徳厚生労働副大臣及び八神敦雄政府参考人は、生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠は生活保護法第三条にあり、また、大学・専門学校等への世帯内就学を認める段階に至っているか否かは、一般世帯における進学率のみで判断するものではなく、高校卒業後に就職する一般世帯の子どもやアルバイト等で自ら学費等を賄いながら大学等に通う低所得世帯の子どもとのバランス等を考慮する必要がある旨、従前の見解と矛盾すると思われる答弁をする一方、過去の国会答弁や「生活と福祉」で同内容の説明がなされていたかとの質問に対しては、今すぐには答えられない旨答弁した。
 以上をふまえて、厚生労働省の見解の変遷及び矛盾の有無を確認するため、以下質問する。

一 生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠は、生活保護法第三条にあるか。ある場合、どのような意味において、同条が根拠となるのか説明されたい。また、過去に「生活と福祉」等の公刊物や国会答弁において、そのような説明をしたことがあるか。ある場合には、説明がなされた年月日及びその内容を具体的に示されたい。

二 生活保護世帯の子どもが大学・専門学校等に進学した場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠は、生活保護法第四条第一項にあるか。ある場合、どのような意味において、同項が根拠となるのか説明されたい。また、生活保護法第三条及び第四条第一項のいずれも、かかる場合に世帯分離をする取り扱いの法的根拠となる場合、両規定の関係について説明されたい。

三 従前、全世帯の現役生の大学・専門学校等への進学率が八十%に達していないことが、生活保護世帯における大学・専門学校等への世帯内就学を認める段階に至っていないことの理由とされてきた(平成二十九年一月二十六日衆議院予算委員会における塩崎恭久厚生労働大臣(当時)の答弁等)が、文部科学省の学校基本調査における過年度卒(浪人生)を含む進学率を採用しないのはなぜか。

四 過去に「生活と福祉」等の公刊物や国会答弁において、生活保護世帯における大学・専門学校等への世帯内就学を認める段階に至っていないことの理由として、全世帯の大学・専門学校等への進学率以外の理由(高校卒業後に就職する一般世帯の子どもやアルバイト等で自ら学費等を賄いながら大学等に通う低所得世帯の子どもとのバランス等)を示したことがあるか。ある場合には、理由を示した年月日及びその内容を具体的に示されたい。

  右質問する。