質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第六五号

長崎大学で進められているBSL4施設の建設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  令和元年五月三十一日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   長崎大学で進められているBSL4施設の建設に関する質問主意書

 現在、日本国内で二箇所目となるBSL(バイオセーフティーレベル)4施設を長崎大学が事業主体となり建設、設置しようとしている。BSL4施設はエボラ熱などの伝染病の研究のために設置されるとのことであり、日本国内でそのような施設が設置されることについては反対するものではない。しかしながら、当該施設は長崎市の住宅密集地に設置されるにもかかわらず、地元住民の同意を得られないまま、工事がすでに始められている状況である。
 以上の事実を踏まえて、質問する。

一 BSL4施設のような高度な研究施設はいわゆる旧七帝大の医学部に設置されるのが一般的であると思われるが、なぜ旧七帝大でない長崎大学に設置されることになったのか。また、他の大学においては同様のBSL4施設の建設計画はなかったのか。

二 二〇一六年八月、文部科学省は、長崎大学におけるBSL4施設の建設に地元住民が反対していることを理由に、当該建設の関連経費を二〇一七年度予算概算要求に反映しなかった。しかしながら、同年十一月に菅官房長官が長崎県副知事と長崎市長に説明をしたところ、長崎県と長崎市が当該建設を容認し、関連経費が二〇一七年度予算に反映されることになった。
 文部科学省と長崎大学が二〇一六年八月にBSL4施設の建設を断念してから、同年十一月に長崎県と長崎市がこれを容認するに至るまでの経過を明らかにされたい。

三 長崎大学坂本キャンパス以外にもBSL4施設の建設候補地があったと思われるが、なぜ同キャンパスに建設することを決定したのか。また、他の先進国では、住宅密集地に建設されたBSL4施設は存在するのか。

四 日本にはBSL4施設の建設に関する個別の法律はなく、長崎大学のBSL4施設は建築基準法上、「教育施設」として申請され、建築確認を受けている。BSL4施設は最も危険度が高いウイルスを生きたまま持ち込み、動物に感染させ実験、研究する施設であるが、このような高度な研究施設の建築そのものに関するルールを国で制定してから今回の工事に取り掛かることもできたのではないか。

五 BSL4施設の建設に関し、WHOや日本建築学会からは、「住宅密集地は避けるべき」、「設置するなら、近隣住民との合意や理解や信頼関係の構築が必要」との旨提言されているが、政府や長崎大学はBSL4施設の建設を決定する以前に地元住民との話し合いをどの程度行い、どの段階で同意を得たと判断したのか。

六 長崎大学は、BSL4施設は教育施設の建築に係る法的基準を上回る強度で造られるため、安心、安全な建物であると言うが、万が一破壊、破損して地元住民等へ被害を及ぼした時、政府はどのように対処をするのか。また、ウイルスが施設外に漏れ、住民が感染して死亡した場合や住民に後遺症が残った場合、どのような賠償や補償をするのか。

七 現在進められている長崎大学における「BSL4施設設置計画」を地元住民の理解が得られるまで一旦凍結し、見直すことを考えるべきであると考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。