質問主意書

第198回国会(常会)

質問主意書


質問第二八号

児童福祉法二十八条事件に係る保護者指導勧告の統計に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十一年四月五日

吉川 沙織   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   児童福祉法二十八条事件に係る保護者指導勧告の統計に関する質問主意書

 毎月勤労統計調査問題を始めとする統計不正事案が発覚し、我が国の統計やこれに基づく政策への信頼を根幹から揺るがす由々しき事態へと進展しているが、これを奇貨として、政府は、明確な根拠に基づくなど適正な手続を踏んで統計を作成すること及び統計の作成過程を透明化することが重要であるということを改めて認識するべきである。
 児童相談所における児童虐待相談への対応件数は、統計を取り始めた平成二年度から一貫して増加しており、虐待によってかけがえのない子どもの命が奪われる事案が相次いでいる。
 このため政府は、今国会に児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律案(第百九十八回国会閣法第五五号)を提出したが、同法律案の立法事実に関連する児童虐待に係る統計について疑義があるため、前記の認識を踏まえ、以下質問する。

一 児童福祉法第二十八条は、同条第一項及び第二項の措置に関して、家庭裁判所による保護者指導勧告を規定している。この保護者指導勧告について、最高裁判所事務総局家庭局が取りまとめた過去十年間の件数を年ごとに示されたい。

二 前記一の保護者指導勧告については、厚生労働省の福祉行政報告例においても取りまとめられている。福祉行政報告例における当該勧告の過去十年間の件数を年度ごとに示されたい。

三 前記一の件数は年単位、前記二の件数は年度単位でそれぞれ取りまとめられているという違いはあるものの、両件数には看過しがたい乖離がある。この乖離が生じる理由について、政府の見解を明らかにされたい。

四 平成二十七年度福祉行政報告例の記入要領には、「家庭裁判所勧告関係」として、「家庭裁判所勧告については、児童福祉法第二十八条第六項の規定に基づく、家庭裁判所から保護者指導処置(原文ママ)を採るべき旨の勧告を受けた件数を計上する。」とある。ここに言う「児童福祉法第二十八条第六項の規定」とは何か、具体的に明らかにされたい。また、この記入要領の文言はどの年度の福祉行政報告例から使用していたのか明らかにされたい。

五 平成二十八年度福祉行政報告例の記入要領には、「家庭裁判所勧告関係」として、「家庭裁判所勧告については、児童福祉法第二十八条第五項の規定に基づく、家庭裁判所から保護者指導処置(原文ママ)を採るべき旨の勧告を受けた件数を計上する。」とある。ここに言う「児童福祉法第二十八条第五項の規定」とは何か、具体的に明らかにされたい。また、従来の記入要領における「児童福祉法第二十八条第六項」との文言を「児童福祉法第二十八条第五項」に変更した理由を明らかにされたい。

六 前記五の変更を行った際の最終決定者は誰か、役職を明らかにされたい。また、福祉行政報告例の担当は厚生労働省政策統括官付参事官付行政報告統計室であるが、当該変更に当たり、同室から他部課(大臣官房、雇用均等・児童家庭局(当時)等)への報告や情報共有がどのようになされたのか明らかにされたい。さらに、当該変更について厚生労働省から都道府県への説明や周知がどのようになされたのか明らかにされたい。

七 厚生労働省のウェブサイトでは、厚生労働省が行っている統計調査の調査票様式の一覧が公表されているが、統計調査の記入要領については同サイトで公表されているのか。公表されていない場合、その理由と今後の方針を明らかにされたい。

八 児童福祉法及び児童虐待の防止等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十九年法律第六十九号)の施行により家庭裁判所による保護者指導勧告が強化されたが、これを踏まえ、平成三十年度福祉行政報告例の「家庭裁判所勧告関係」に係る報告書様式の記入項目及び記入要領の文言は、平成二十九年度福祉行政報告例からどのように変更されているのか具体的に明らかにされたい。

  右質問する。