質問主意書

第197回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三八号

内閣参質一九七第三八号
  平成三十年十二月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出我が国のセメント産業・塗料製造業の持続可能な発展に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出我が国のセメント産業・塗料製造業の持続可能な発展に関する質問に対する答弁書

一の1及び2について

 租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第九十条の四の二及び第九十条の五において、石油石炭税について、輸入特定石炭に係る免税措置及び国産石油化学製品製造用揮発油等に係る還付措置が定められており、これらは、平成二十四年度税制改正において、政策税制措置による安定的な設備投資の支援や我が国産業の国際競争力の確保という観点を踏まえ、適用期限のない措置とされたところである。
 御指摘の「本則非課税・恒久化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同法に規定されたこれらの措置を石油石炭税法(昭和五十三年法律第二十五号)に規定することを検討する場合には、石油石炭税については、石油等が、その用途によらず、広く一般にもたらす便益に着目し広く負担を求めるものでありつつ、石油化学産業の国際競争力等への政策的配慮から、租税特別措置として用途に応じた免税等の措置が講じられているものであること等を踏まえて、制度の在り方を整理する必要があると考えている。

一の3について

 租税特別措置法第四十二条の四及び第六十八条の九で定める試験研究を行った場合の法人税額の特別控除については、民間の研究開発投資を促進することにより、研究開発投資を通じた技術革新を加速させ、持続的な経済成長の実現を図ることを目的とする特別措置であるところ、これに関しては、平成三十一年度税制改正要望事項として、関係省庁が要望をしており、現在政府において検討を行っているものであることから、お尋ねの政府の見解等について、お答えすることは困難である。

二の1について

 御指摘の「エコセメントの製造プロセスにおいて必要な、生活系廃棄物を主原料とするセメント製造設備や産業系廃棄物の原燃料製品化設備等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、環境負荷低減の観点から、環境調和型セメントの普及は重要であると考えているところであり、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号)第七条第一項の規定に基づく環境物品等の調達の推進を図るための方針を定め、当該方針に基づく取組を行っているほか、中小企業者等が一定の条件を満たす環境調和型セメントの製造設備等を導入した場合に、税制上の優遇措置を講じているところである。

二の2について

 御指摘の「トイレやシャワー室等の設置・改修に対する支援」の必要性については、事業主の個別の事情によって様々であり、一概にお答えすることは困難であるが、一般に、女性の職業生活における活躍を推進するため、雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第六十三条第一項第八号の能力開発事業として、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成二十七年法律第六十四号)第八条第一項の規定に基づき策定された一般事業主行動計画に定める女性の職業生活における活躍の推進に関する取組を実施したこと等の一定の基準を満たした事業主に対し助成金の支給を行っているところであり、各業界団体に対して当該助成金の周知を図ってまいりたい。

三の1について

 舗装工事の工法については、工事内容に応じ、それぞれの利点を比較した上で、早期に交通開放が可能となる工法を含むコンクリート舗装、アスファルト舗装等から選定しているところである。また、社会資本総合整備事業として行われる地方公共団体によるコンクリート舗装等の事業については、社会資本整備総合交付金による補助を行っているところである。
 御指摘の「コンクリート舗装の施工コスト低減」については、コンクリート舗装の一層の普及に有効であると考えており、コストの低減に向けた施工機械等の技術開発に対し支援を行っているところである。

三の2について

 センシング技術の企業への導入・普及に向けた研究開発は、環境モニタリングに用いられるものを含め、データ利活用の促進による生産性向上の観点から重要であると考えている。こうした点も踏まえ、IoTの活用を含むデータ利活用により生産性を向上させる取組に必要なシステムやセンサーを新たに導入した場合又は一定の条件を満たした試験研究を行った場合に、税制上の優遇措置を講じているところである。

四の1について

 御指摘の「電動ファン付き呼吸用保護具等の配備、空調や排気・集じんダクトの更新等」については、粉じん障害防止規則(昭和五十四年労働省令第十八号)に基づく事業主に対する義務付けにより担保されており、現時点において、助成を行うことは想定していないところであるが、引き続き、粉じんにさらされる労働者の健康障害を防止するため、「第九次粉じん障害防止総合対策」(平成三十年二月九日付け基発〇二〇九第三号厚生労働省労働基準局長通知別紙)に基づき、粉じん障害防止対策の効果的な推進に努めてまいりたい。
 また、お尋ねの「生体影響等を踏まえた対策の検討」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「ナノマテリアル」については、「ナノマテリアルの労働現場におけるばく露防止等の対策について」(平成二十一年三月三十一日付け基発第〇三三一〇一一号厚生労働省労働基準局長通知別紙)により、関係事業団体等に対して、塗料開発従事者を含むナノマテリアル関連作業に従事する労働者等に必要なばく露防止対策等を講ずるよう周知徹底を図っているところである。

四の2について

 御指摘の「計画の枠組みに含める」の意味するところが必ずしも明らかではないが、平成三十年三月十九日に厚生労働大臣が策定した第十三次労働災害防止計画において「雇入れ時等の安全衛生教育において・・・保護具の正しい着用方法等の具体的な内容を習得できるようにしたりするなど、その充実を検討する」こと、「生産設備の・・・経年劣化によるリスクを低減していくという観点から、補修等の状況も勘案した、高経年施設・設備に対する点検・整備等の基準を検討する」こと等を定めているところであり、当該計画に基づく取組を適切に実施してまいりたい。