質問主意書

第197回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第三二号

内閣参質一九七第三二号
  平成三十年十二月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出ヒ素混入BCGワクチンに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出ヒ素混入BCGワクチンに関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 日本ビーシージー製造株式会社(以下「BCG社」という。)が製造する乾燥BCGワクチン(経皮用・一人用)(以下「BCG社ワクチン製剤」という。)に関して、その添付溶剤である生理食塩液に、日本薬局方(平成二十八年厚生労働省告示第六十四号)で定められている基準値(以下「基準値」という。)を超えるヒ素が混入していたこと(以下「本件事案」という。)については、平成三十年八月九日にBCG社から厚生労働省医薬・生活衛生局に対して報告(以下「本件報告」という。)があり、本件報告の内容については、同日に同局の担当者から同省健康局の担当者に対して伝達されたところである。なお、御指摘の「当該報告を受けてから当該報告を受けた事実を公表するまで」の間に、本件報告の内容についての厚生労働大臣に対する報告が行われたことはない。

四について

 お尋ねの「第三者による検証」の意味するところが必ずしも明らかではないが、BCG社が行った検査において、BCG社ワクチン製剤の添付溶剤である生理食塩液の製造に使用されているアンプルの材質をヒ素を含まないものに変更した場合、当該生理食塩液から基準値を超えるヒ素が検出されないことが明らかになっており、御指摘の「原因」の調査を改めて行う必要はないと考えている。

五について

 お尋ねの「当該事実が判明した日時」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本件事案の原因については、平成三十年八月二十三日にBCG社から厚生労働省医薬・生活衛生局に報告がなされたところである。なお、BCG社は、基準値を超えるヒ素が含まれていた生理食塩液が添付溶剤となっている疑いのあるBCG社ワクチン製剤(以下「本件ワクチン製剤」という。)の出荷を、本件報告が同局に対して行われた同月九日に停止しており、同日以降にBCG社から出荷された本件ワクチン製剤は存在しないと承知している。

六について

 お尋ねの「最終判断」の意味するところが必ずしも明らかではないが、本件ワクチン製剤については、厚生労働省において、国立医薬品食品衛生研究所に所属する専門家から安全性に関する意見を聴取した上で、平成三十年十一月五日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会で、本件ワクチン製剤の添付溶剤である生理食塩液に含有される最大の量のヒ素の曝露による健康への影響については、ワクチン接種対象児にとって「安全性において問題の無いレベル」と評価した旨を報告し、また、同調査会でもそのように確認されたことから、安全性の問題はないと判断しているところである。

七及び八について

 厚生労働省は、本件報告があった時点で本件ワクチン製剤が医療現場で使用されていることは認識していたが、BCG社から、本件報告がなされた平成三十年八月九日時点で、本件ワクチン製剤の添付溶剤である生理食塩液に含有されているヒ素のおおよその量が報告されており、その量はワクチン接種対象児にとって一日に許容される曝露量の数十分の一以下であったため、安全性に問題がないものと推定されたことから、医療機関等への情報提供や本件ワクチン製剤の使用停止の措置を行わなかったところである。

九について

 お尋ねの「当該報告を受けてから当該報告を受けた事実を公表するまでの間に、当該ワクチン製剤を実際に接種されたワクチン接種対象児は全国で何名いるのか」については、把握していない。
 また、お尋ねの「健康調査」については、本件ワクチン製剤の安全性に問題はないことから、行う予定はない。

十について

 御指摘の「医薬品等への有害物質の混入等の問題が発生した場合」及び「最終判断」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「医薬品等に関する情報の提供」及び「医薬品等の使用を一時中止とする対策」は、個別の事案ごとの状況を総合的に勘案して対策がとられるものと考えており、一概にお答えすることは困難である。