質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六六号

単身の高齢者の住宅確保策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   単身の高齢者の住宅確保策に関する質問主意書

 高齢者の単身世帯数は、平成二十七年の六百一万世帯から平成三十七年には七百一万世帯へと大幅に増加する見込みである。この急増している単身の高齢者の住宅確保問題に関し、公共財団法人日本賃貸住宅管理協会が行った調査では、単身の高齢者の入居に拒否感がある大家は六十五%、実際に六十歳以上の単身者の入居を断っている大家は十一・九%であった。入居を制限する最も大きな理由は「家賃の支払いに関する不安」(五十七・三%)であり、他に「居室内での死亡事故等への不安」(十八・八%)という理由もあった。
 同調査で示された、大家が単身の高齢者の入居を制限する理由のうち、家賃滞納等への不安については、信頼出来る家賃債務保証業者を活用するという解決手段があるが、問題は、身寄りのない賃借人が死亡した際の負担の重さについてである。
 以上を前提に、以下の通り質問する。

一 身寄りのない賃借人が死亡した場合、賃貸人は残置物(遺留品)の処理や居室の原状回復といった対応に苦慮することになる。当該対応は相続人が実施するのが基本であるが、相続人がいない場合ないし相続人が不明である場合には、賃貸人が家庭裁判所に相続財産管理人の選任の申立てをしなければならず、賃貸人の負担が非常に大きい。この問題を政府はどのように認識しているか。

二 単身の高齢者を受け入れることによって賃貸人に生じ得る様々な負担を当事者間の入居時の賃貸借契約等で解決することには限界がある。住宅確保要配慮者居住支援法人等による見守りも有効ではあるが、事後的に賃貸人の負担が軽減されるだけであり、単身の高齢者の入居忌避の防止に直結するものではない。
 したがって、行政による制度的な解決が望まれるが、そのための手段としてどのような方策が考えられ得ると政府は認識しているか。

  右質問する。