質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第六二号

ひきこもりの「八〇五〇問題」等への対処に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   ひきこもりの「八〇五〇問題」等への対処に関する質問主意書

 平成二十七年の内閣府の調査によると、六か月以上社会参加をしていない状態の「ひきこもり」と呼ばれる人々が、推計で五十四・一万人いるとされている。但し、ひきこもりは主にいじめや不登校をきっかけに起きる子どもや若者の問題として捉えられていたため、本調査は対象を十五歳から三十九歳までに限定して行われている。
 本調査によれば、ひきこもりの状態になった年齢については、十五歳から二十四歳までの若年層が六割以上を占める。また、ひきこもりの状態になってからの期間は、七年以上が約三十五%と最も多く、長期化が進んでいる。ひきこもりの状態になったきっかけについてはさまざまであるが、該当人数の多かった例として、「不登校」、「職場になじめなかった」、「就職活動がうまくいかなかった」、「人間関係がうまくいかなかった」などがあげられる。
 ひきこもり問題は、潜在化している部分も含め、深刻化しており、対策が急務である。
 このような現状をふまえ、以下のとおり質問する。

一 ひきこもりの状態になった者(以下「「ひきこもり」」という。)の高年齢化に伴い、その親も高齢になることにより、親の収入が途絶えたり、親の病気や介護といった負担が加わったりして、一家が孤立、困窮する「八〇五〇問題」も最近浮上している。八〇五〇問題への政府の対応方針を示されたい。

二 国は今年度に、四十歳以上の「ひきこもり」についての調査を行う予定である。この調査を行う際には、本人及びその家族の経済状態についても、聞き取りを行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 現在、国や地方自治体が行う「ひきこもり」に対する支援は、若年層を想定したものが多く、対象を三十歳代までに区切っているものもある。ひきこもりの状態の長期化、「ひきこもり」の高年齢化に対応し、これらの年齢制限について精査の上、見直しを行うべきと考えるが、政府の見解を伺う。

四 高齢者のひきこもり問題の解決のためには、とりわけ就労支援が極めて重要である。しかしながら、個々の「ひきこもり」の個性に寄り添ったきめ細かな就労支援がハローワークにおいて行われていないケースもあるとの指摘が散見される。
 ハローワークの担当職員に、ひきこもり支援従事者養成研修を受講させるなど、ハローワークにおける就労支援がひきこもり問題の解決につながるよう、必要な施策を講じるべきではないか。

五 企業等による、ひきこもり問題に対する理解の増進や「ひきこもり」が継続して働ける環境づくりも、ひきこもり問題の解決には必要である。政府は、「ひきこもり」の就労支援を主目的とした「ひきこもり」を採用した企業への助成金の給付を検討すべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。