質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五九号

発達障害を巡る諸課題とその対応策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月十日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   発達障害を巡る諸課題とその対応策に関する質問主意書

 発達障害者支援法(平成十六年法律第百六十七号)において「発達障害」は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されている。
 小学校・中学校の通常の学級には「発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒」が約六・五%いると言われている。これは約十五人に一人の割合である。また、発達障害に悩む者は子供に限られず、発達障害者支援センターに寄せられた相談件数は二〇一六年には七万四千件を超えており、社会的な問題となっている。

一 総務省が全国二十七の専門的医療機関を対象に実施した調査で、発達障害が疑われる子供が初診を待つ期間は、最長で十カ月に上ることが判明した。また、子供だけでなく、成人についても発達障害が疑われる例が急増しており、現在はこのような成人を含めた新たな患者の増加に医療機関が対応しきれていない。子供はもちろん成人であっても、発達障害の可能性に気付いた後のなるべく早い段階での医療支援が、症状の改善のためにも極めて重要であることは言うまでもない。
 発達障害が疑われる者の初診待ちの期間を短縮するため、発達障害者を診察できる医療機関の確保と診療医の計画的な育成に取り組むべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 発達障害の問題に対応するには、当事者である発達障害者に対する支援はもとより、その親(保護者)等に対する支援が大事である。親同士が子育ての悩みごとを共有しあえるピアサポート推進事業等の発達障害児者及び家族等支援事業の活性化を始めとして、発達障害者の保護者や家族に対する支援の拡大を行うべきと考えるが、政府の見解を伺う。

三 発達障害者については、高齢になってからの方が、むしろ支援の必要性が増す場合が多いが、現行制度は高齢の発達障害者にフォーカスを当てたものにはなっていない。発達障害者の高齢化に伴い、発達障害者を支える保護者等が高齢化することも踏まえ、高齢の発達障害者やその保護者等への支援の仕組みを整備する必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

四 発達障害が疑われる子供に対しては、早期から発達段階に応じて一貫した支援を行っていくことが重要であり、早期発見・早期支援の必要性はきわめて高い。そのため、発達障害の早期発見・早期支援のため必要な措置を講ずることが、発達障害者支援法においても国の責務として明記されている。そのうち、発達障害の早期発見には、一歳六カ月や三歳での乳幼児健診が極めて有効な機会となるが、子供に発達障害の可能性があることを伝えられた保護者に発達障害に関する理解が不足していたことにより、折角の早期発見が早期の療育開始に結びつかないケースもままある。このような状況を避けるためにも、発達障害に関する国民の理解を深めるための社会教育等が重要ではないかと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。