質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三八号

我が国のセメント産業・塗料製造業の持続可能な発展に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十二月五日

石上 俊雄   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   我が国のセメント産業・塗料製造業の持続可能な発展に関する質問主意書

一 税制改正について

1 輸入特定石炭に係る石油石炭税の免税措置の本則非課税・恒久化
 輸入ナフサ等に係る石油石炭税の免税措置が、政策税制措置による安定的な設備投資の支援や我が国産業の国際競争力の確保という観点等から、その適用期限を当分の間延長し、適用期限の定めのない措置とすることとされていること等を踏まえ、セメント製造用自家発電に供する輸入特定石炭に係る石油石炭税の免税措置についても、同様の措置となっている。しかし、輸入特定石炭に係る石油石炭税の免税措置については、そもそも世界標準の「本則非課税・恒久化」とするべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 石油化学製品製造用揮発油等に係る石油石炭税の還付措置の本則非課税・恒久化
 塗料製造業における原料用途の石油・石炭・揮発油については、輸入並びに国産石油化学製品製造用揮発油等に係る石油石炭税の還付措置が時限的に適用されているが、諸外国では非課税措置が講じられている。課税環境の国際的なイコールフッティングを確保する観点等から、我が国も世界標準の「本則非課税・恒久化」とするべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
3 研究開発促進税制の拡充
 昨今、社会的に強い要請のある省エネルギー等に配慮した環境調和型の製品や製造プロセスのための研究開発投資は、企業にとって重い負担となっており、研究開発促進税制の拡充による支援が急務である。具体的には、(1)一般試験研究費(総額型)の控除上限の緩和、(2)繰越控除制度の復活、(3)特別試験研究に係る税額控除制度(オープンイノベーション型)の控除枠拡大等を実施すべきと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

二 設備投資について

1 環境調和型セメント(エコセメント)のための設備投資に対する支援
 セメント産業はこれまでも、都市ごみの焼却残さを利用した環境調和型セメント(エコセメント)の製造を通じ、最終処分場の延命化を図るなど、環境負荷低減に貢献してきたが、今後、環境負荷低減の取組みに対する要請は一層拡大する一途と予測されている。そのため、エコセメントの製造プロセスにおいて必要な、生活系廃棄物を主原料とするセメント製造設備や産業系廃棄物の原燃料製品化設備等への投資に対する支援が急務と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 女性の採用増加・定着率向上等に資する設備投資に対する支援
 セメント産業、塗料製造業では、産業の特性上、粉じんが飛散するため保護具の着用が必要であること、いわゆるシンナー臭が落ちにくいこと等に起因して、女性従業員比率が低い現状がある一方、機械や器具の操作の容易化により女性の就業可能領域は拡大している。女性の採用増加や定着率向上等を図り、女性従業員の活躍を推進するため、トイレやシャワー室等の設置・改修に対する支援が必要不可欠と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

三 研究開発について

1 コンクリート舗装の施工コスト低減・工期短縮のための研究開発に対する支援
 コンクリート舗装は、大型車の燃費向上、路面温度の低減、材料の安定供給及び廃棄物の有効活用等の観点からアスファルト舗装に勝ると評価されており、公共工事等での使用促進が求められている。その実現のためには、高規格幹線道路及び都市間主要幹線道路の更新に当たり、早期交通開放型コンクリート舗装「ワン・デイ・ペイブ」を採用することや、国土交通省所管の社会資本整備総合交付金を、地方自治体における坂道、軽交通道路、生活道路、トンネル内、交差点及び交差点周辺の舗装に一層活用すること等が望ましいと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。また、コンクリート舗装の施工コストの低減には、施工機械の汎用化・低廉化に係る技術開発や、コンクリートの凝結時間の短縮等、工期短縮のための「ワン・デイ・ペイブ」の機能向上に係る研究開発に対する支援が有効と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 排ガスモニタリングのセンサー技術の研究開発に対する支援
 セメント産業では、NOx、SOx、煤じん等のキルン煙突排出物質の連続モニタリング、揮発性有機化合物の連続モニタリング、水銀・PCDD/F・金属等の定期的モニタリング、サイロ腐食等の設備老朽化対策等、産業保安分野でのIoT導入が期待されている。将来的な環境モニタリング規制の緩和に向けて、IoTを活用したセンサー基盤の構築や、センサー類の低廉化の研究開発に対する支援が必要と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

四 安全衛生対策について

1 粉じん障害防止総合対策の推進
 厚生労働省による第九次粉じん障害防止総合対策の推進に関して、セメント産業・塗料製造業においては、電動ファン付き呼吸用保護具等の配備、空調や排気・集じんダクトの更新等の設備投資に対する支援が有効と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。また、人体に対する有害性が未解明の化学物質に対する労働者の暴露の予防的対策については、特に、塗料開発従事者のナノマテリアルに対する暴露が懸念されるため、生体影響等を踏まえた対策の検討が必要と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。
2 労働災害防止計画の推進
 厚生労働省による第十三次労働災害防止計画の推進に関して、塗料製造業においては静電気事故対策に重点的に取り組んでいるが、帯電防止作業服、導電機能安全靴、静電気防止手袋、保護メガネ等の労働安全衛生法施行令及び労働安全衛生規則に基づく保護具についても、当該計画の枠組みに含めるのが望ましいと考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。また、塗料製造プロセスの特性上、設備にディスパー、ロールミル、ロールコーター等の回転体が多く設置されていることから、巻き込まれ事故に関する危機予知といった既存の取組みと合わせ、老朽化した旧式の回転体については、設備更新によって安全対策の促進が図られるよう、支援が必要不可欠と考えるが、政府の見解及び取組みを明らかにされたい。

  右質問する。