質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二二号

森友学園に対する国有地の売り渡しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月十三日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   森友学園に対する国有地の売り渡しに関する質問主意書

 私が本年三月に提出した「森友学園に対する国有地の売り渡しに関する質問主意書」(第百九十六回国会質問第四〇号)に対する答弁(内閣参質一九六第四〇号。以下「答弁書」という。)に疑義があるため、以下質問する。

一 森友学園に対する国有地の売り渡しに関し、一般競争入札の公告を行わないことを可能とする法令上の根拠を問うた私の質問に対し、政府は答弁書の「二について」において、「会計法(昭和二十二年法律第三十五号)第二十九条の三第五項及び予算決算及び会計令(昭和二十二年勅令第百六十五号)第九十九条第二十一号である」と回答している。このうち、予算決算及び会計令第九十九条第二十一号には、「公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件を直接に公共団体又は事業者に売り払い、貸し付け又は信託するとき」には、一般競争入札によらず随意契約によることができる旨規定している。しかし、森友学園が運営する幼稚園では、運動会で園児に「安保法制国会通過良かったです」「安倍首相頑張れ」などと唱和させていたことが知られている。園児に対し、特定の政治家を称揚させたり、政府の特定の政策に賛同を表明させたりするような教育方針は、教育の政治的中立性に反すると考えられるが、このような教育を行っていた森友学園が開校を計画していた小学校用地を、予算決算及び会計令第九十九条第二十一号の「公共用、公用又は公益事業の用に供するため必要な物件」に該当すると判断した根拠は何か明らかにされたい。

二 森友学園に対する国有地の売り渡しに関しては、会計検査院法第三十条の三の規定に基づく報告書「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」(平成二十九年十一月公表。以下「報告書」という。)においても、例えば予定価格の決定については「鑑定評価額と大きく異なる額を予定価格として決定していたのに、国有財産評価基準で求められている評価調書の作成を失念し、評定価格を定めておらず、評価内容が明らかになっていないため、評価事務の適正を欠いていると認められた」(報告書百十二ページ)、また、地下埋設物撤去・処分費用の見積りについては「予定価格よりも有利な価格で契約する可能性を追求するためには、予決令第九十九条の六及び見積事務連絡に基づき、適切に見積合わせなどを行うことについて更に検討すべきであったと認められた」(報告書百十三ページ)と、その不当性が指摘されている。
 安倍首相は、本年十月十五日の臨時閣議で、法律で定められたとおり平成三十一年十月から消費税率を現行の八%から十%に引き上げる方針を表明した。国の財政赤字が一千兆円を超える中、本来であれば国庫に帰属していたであろう森友学園に売り渡された国有地の適正価額と実際の売却価額との差額を回収できない上、会計検査院からも不当性を指摘された森友学園に対する国有地の売り渡しに関し、政府として検証も行わず、消費税率引き上げという形で国民に新たな負担を求めるような政策決定を行うことは許されないと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。