質問主意書

第197回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一八号

日EU経済連携協定の交渉過程に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年十一月五日

舟山 康江   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日EU経済連携協定の交渉過程に関する質問主意書

 EU理事会が二〇一七年九月十四日に公表した日EU経済連携協定に関する交渉権限(マンデート)についての文書「Directives for the negotiation of a Free Trade Agreement with Japan」の四十六には、「欧州委員会は、交渉開始から十二ヶ月後に、非関税措置リスト(原文では「the roadmaps on EU illustrative list of Non‐Tariff Measures」)に示された非関税措置の撤廃の履行状況を検証し、仮に日本が履行していなかった場合には、交渉の中断を決定すべきである」旨が記載されている。
 また、欧州委員会通商総局がウェブサイトで公表している日EU経済連携協定に関する「Factsheets about the agreement」からリンクされた文書「Regulatory cooperation and non‐tariff measures」では、非関税措置への取り組みについて、「EUは日本に対して、2つの非関税措置リストを手交した(原文では「The EU presented Japan with two lists of NTMs」)。日本はそのうちのかなりの割合のものに対処をした。」ことが明らかにされており、「日本は第一のリストのうち約七十五%を実行に移した。圧倒的多数を占める自動車、医薬品、医療機器に関するものなどを含め、全分野を通して、両リストとも五十%近くの割合で解決した。」旨が記載されている。
 現状では、日EU経済連携協定についてのEUとの交渉過程に関する政府による情報開示が極めて不十分であり、交渉過程や交渉結果の妥当性について十分に検証することができない。そこで、かかる妥当性を検証するための前提として、前記の両文書で言及されている非関税措置リスト(以下「非関税措置リスト」という。)について、以下質問する。

一 (1)非関税措置リストの記載内容の概要、(2)EU側から日本側に非関税措置リストが提出された年月日、(3)非関税措置リストのこれまでの公開状況、(4)非関税措置リストに基づく非関税措置の撤廃などに関する政府内での検討状況を、それぞれ示されたい。

二 日EU経済連携協定の交渉過程や交渉結果の妥当性を検証するための判断材料として、政府は、非関税措置リストを速やかに公開すべきと考えるが、公開に向けた今後の方針を示されたい。

三 EU側が公表している前記の両文書によれば、非関税措置リストについて、日本側の履行状況をEU側が検証しているとのことであるが、政府は、達成割合などの日本側の非関税措置への取り組み状況に対するEU側の評価の根拠となる報告書などを、EU側から入手しているか。また、入手しているとすれば、入手した年月日及び記載内容の概要を示されたい。

四 非関税措置リストに記載された非関税措置のうち、政府が現時点で撤廃等の対応を実施済み(対応を決定済みのものを含む。)と考える非関税措置の割合を具体的に示されたい。また、対応を決定していないと考える非関税措置を具体的に列挙されたい。

  右質問する。