質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第二一一号

内閣参質一九六第二一一号
  平成三十年七月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出IR実施法案とギャンブル依存症対策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出IR実施法案とギャンブル依存症対策に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘のような「カジノに起因するギャンブル依存症患者」や「カジノでのギャンブルに起因する多重債務者」が発生するとの懸念に関しては、特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律(平成二十八年法律第百十五号)第十条第一項において、「カジノ施設の入場者がカジノ施設を利用したことに伴いギャンブル依存症等の悪影響を受けることを防止するために必要な措置に関する事項」について必要な措置を政府が講ずるものとすることが規定されており、また、同法の国会審議における附帯決議においても、依存症予防等の観点から厳格な入場規制を導入すること等が求められている。
 このため、平成三十年七月二十日に成立した特定複合観光施設区域整備法(平成三十年法律第八十号)においては、御指摘の懸念について応えるべく、カジノ行為への依存防止に関し、日本人及び本邦内に住居を有する外国人を対象として、入場回数の制限、入場料の賦課及びカジノ事業者による貸付の制限を行うとともに、全ての入場者を対象として、入場者又はその家族等の申出によるカジノ施設の利用を制限する措置、カジノ行為に対する依存による悪影響を防止する観点からカジノ施設を利用させることが不適切であると認められる者のカジノ施設の利用を制限する措置等を講ずることをカジノ事業者に義務付けるほか、認定区域整備計画の数の上限の設定、一の特定複合観光施設区域におけるカジノ施設の数の限定、カジノ施設に係る面積の制限、カジノ事業又はカジノ施設に関する広告及び勧誘の規制を行う等の重層的・多段階的な取組を制度化し、万全を期したものである。

三について

 特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律では、カジノ施設の利用に関し、第十条第二項において「外国人旅客以外の者に係るカジノ施設の利用による悪影響を防止する観点から、カジノ施設に入場することができる者の範囲の設定その他のカジノ施設への入場に関し必要な措置を講ずる」こととされ、日本人のカジノ施設の利用を一律に禁止することとはされていない。
 これを踏まえ、特定複合観光施設区域整備法では、「カジノ施設への日本人の入場禁止」ではなく、一及び二についてでお答えしたとおり、カジノ行為に対する依存防止に関し、重層的・多段階的な取組を制度化し、日本人も含め、適切な対策を講じたものである。

四及び六について

 御指摘の「より高い水準の規制」及び「既存の依存症対策を強化したので、カジノも問題ない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一及び二について及び三についてでお答えしたとおり、特定複合観光施設区域整備法は、カジノ行為に対する依存防止に関し適切な対策を講じているものである。
 なお、政府としては、ギャンブル等依存症対策については、ギャンブル等依存症対策基本法(平成三十年法律第七十四号)において、ギャンブル等依存症対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、ギャンブル等依存症対策の推進に関する基本的な計画を策定するとともに、三年ごとに、ギャンブル等依存症問題の実態を明らかにするため必要な調査を行うこととされていることも踏まえ、定期的な実態調査に基づいてPDCAサイクルを推進することで、不断に取組を強化していくこととしている。

五について

 お尋ねの「現時点で効果を上げている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、ギャンブル等依存症対策について、御指摘の取組を含め、「ギャンブル等依存症対策の強化について」(平成二十九年八月二十九日ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議決定)等を踏まえ必要な取組を講じているところである。