質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第二〇三号

内閣参質一九六第二〇三号
  平成三十年七月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出若者のセックスを真剣に考えることに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出若者のセックスを真剣に考えることに関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「いわゆる「はどめ規定」」については、中央教育審議会で平成二十年一月十七日に取りまとめられた「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について(答申)」において、「「(…の)事項は扱わないものとする」等と定める、いわゆる「はどめ規定」は、これらの発展的な内容を教えてはならないという趣旨ではなく、すべての子どもに共通に指導するべき事項ではないという趣旨である」とされている。
 また、中学校学習指導要領(平成二十年文部科学省告示第二十八号)においては、「第二章以下に示す内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は、すべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり、学校において特に必要がある場合には、この事項にかかわらず指導することができる。ただし、これらの場合には、第二章以下に示す各教科、道徳及び特別活動並びに各学年、各分野又は各言語の目標や内容の趣旨を逸脱したり、生徒の負担過重となったりすることのないようにしなければならない」とされている。
 御指摘の「解釈」及び「不当に萎縮させない」の意味するところが必ずしも明らかではないが、性に関する指導に当たっては、発達の段階を踏まえること、学校全体で共通理解を図ることや保護者の理解を得ることに配慮するとともに、性的な発達への適応については、個々の生徒間で発達の差異が大きいことから、集団で一律に指導する内容と、個々の生徒の抱えている問題に応じ個別に指導する内容を区別して指導することとしているところであり、中学校学習指導要領において「妊娠の経過は取り扱わない」としていることは、特段不合理であるとは考えていない。

二について

 お尋ねの「活用」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、性に関する指導に対する価値観は国によって異なるため、御指摘の「ガイダンス」の有用性も含め、性に関する指導の在り方については、今後とも検討していくことが必要であると考えている。

三について

 御指摘の「全ての子どもたちが安心して頼れる、科学的証拠に基づいた性に関する包括的内容を扱うウェブコンテンツ」の意味するところが必ずしも明らかではないが、例えば、厚生労働科学研究費補助金により作成された女性の健康に関するウェブサイトである「女性の健康推進室 ヘルスケアラボ」においては、「ひとりで悩まない思春期の性と健康」等をテーマに、性に関する正しい知識の普及啓発等を行っている。

四について

 御指摘の「事前の避妊手段の多様化と低廉化、アクセシビリティの向上」については、保健衛生上の観点等から、慎重な検討を要するものと考えている。政府としては、予期せぬ妊娠に悩む女性を減らすためには、避妊等に関する正しい知識を身につけることも重要であると考えており、厚生労働省のホームページにおいて、避妊方法や性感染症を含めた思春期の体や心に関する正しい知識の普及啓発のためのリーフレットを掲載しているところである。

五について

 お尋ねの「若者の健康支援の観点からの機能を追加すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(以下「センター」という。)は、性犯罪・性暴力被害者に、被害直後からの総合的な支援を可能な限り一か所で提供することにより、被害者の心身の負担を軽減し、その健康の回復を図ることを目的とするものであり、センターに被害者支援とは別の機能を追加することについては、潜在化、継続化、深刻化する傾向が高い性犯罪・性暴力被害の特殊性を踏まえ、慎重に検討する必要があると考えている。