質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一九九号

内閣参質一九六第一九九号
  平成三十年七月二十七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員糸数慶子君提出無期懲役に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出無期懲役に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 御指摘の「特に犯情悪質等の無期懲役刑確定者に対する刑の執行指揮及びそれらの者の仮出獄に対する検察官の意見をより適正にする方策について」(平成十年六月十八日付け最高検検第八百八十七号次長検事依命通達)については、「「特に犯情悪質等の無期懲役刑確定者に対する刑の執行指揮及びそれらの者の仮出獄に対する検察官の意見をより適正にする方策について」の一部改正について」(平成十八年五月二十四日付け最高検検第千六百二十四号次長検事依命通達)により一部改正がなされたほか、これらに関するものとして、「最高検察庁におけるマル特無期事件被告人及び受刑者の選定等に関する事務処理要領の制定について」(平成十年九月四日付け最高検検第千三百二十八号次長検事依命通達)及び「マル特無期事件関係事務の処理について」(平成十年九月十六日付け最高検検第千三百七十八号最高検察庁総務部長事務連絡)が発出されており、これらの通達はいずれも現在有効である。
 これらの通達等の一部については、公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあるとの理由から公表を差し控えている。

四から七までについて

 お尋ねについては、刑の執行に支障を及ぼすおそれがあることなどから、答弁を差し控えたい。

八及び十二について

 「無期刑受刑者に係る仮釈放審理に関する事務の運用について」(平成二十一年三月六日付け法務省保観第百三十四号法務省保護局長通達)は、無期刑受刑者については、重大な犯罪をしたことにより終身にわたって刑事施設に収容され得ることに鑑み、無期刑受刑者に係る仮釈放審理の運用の透明性を更に向上させるとともに、慎重かつ適正な審理を確保するために発出したものである。
 具体的には、同通達において、地方更生保護委員会(以下「地方委員会」という。)は、当該仮釈放審理における更生保護法(平成十九年法律第八十八号。以下「法」という。)第三十七条第一項に規定する面接については、その構成員である複数の委員をして審理対象者との面接を行わせるものとした。また、同通達において、地方委員会は、当該仮釈放審理においては、犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する規則(平成二十年法務省令第二十八号。以下「規則」という。)第二十二条において準用する規則第十条第一項の規定に基づき、原則として、検察官の意見を求めるものとした。さらに、地方委員会は、当該仮釈放審理においては、無期の懲役又は禁錮に当たる全ての犯罪の被害者等(法第三十八条第一項に規定する被害者等及びこれに準ずる者をいう。)について、原則として、それぞれ、面接等調査を行うものとした。加えて、地方委員会は、無期刑受刑者について、刑の執行が開始された日から三十年が経過したときは、その経過した日から起算して一年以内に、法第三十五条第一項の規定に基づき、必要があると認めて仮釈放審理を開始するものとした。
 また、無期刑の執行状況及び無期刑受刑者に係る仮釈放の運用状況について、法務省ホームページにおいて公表している。

九について

 お尋ねのような形での統計をとっておらず、お答えすることは困難である。

十、十一及び十三について

 お尋ねの「無期刑の終身刑化」及び「無期刑の事実上の終身刑化」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、仮釈放を許すか否かの判断は、地方委員会の専権に属するものであって、地方委員会において個々の事案に応じて適切に行われてきたところであり、今後とも、適切に行われるものと認識している。