質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一七五号

内閣参質一九六第一七五号
  平成三十年七月二十四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院副議長 郡司 彰 殿

参議院議員石上俊雄君提出我が国が直面するエネルギー問題への対応に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出我が国が直面するエネルギー問題への対応に関する質問に対する答弁書

一の1について

 再生可能エネルギーを用いた分散型エネルギーシステムの構築は、地域活性化やエネルギーシステムの強靭化に寄与するため重要であり、今後とも、分散型のエネルギー源から得られる電気や熱を複数施設で融通して利用する先導的な取組等を進めていく。

一の2について

 固定価格買取制度については、今後とも、再生可能エネルギーの最大限の導入と国民負担の抑制の両立に向け、着実に取組を進めていくとともに、引き続き必要に応じて見直しを行っていく。

一の3について

 再生可能エネルギーを長期安定的な主力電源とするため、「エネルギー基本計画」(平成三十年七月三日閣議決定)に基づき、例えば、小規模な事業用太陽光発電の適切なメンテナンスを確保し、再投資を促すといった取組を進めるとともに、平成三十一年以降、順次、固定価格買取制度の調達期間が終了する住宅用太陽光発電については、調達期間の終了後も、自家消費や小売電気事業者等に相対契約等で余剰電力を売電するといった選択肢があること等について、広報及び周知の徹底等を進めていく。

一の4について

 固定価格買取制度による支援に加え、地熱発電及び風力発電の普及拡大のため、例えば、コスト低減のための技術開発や、環境影響調査の前倒し実施や審査期間の短縮等により手続を迅速化する取組等を進めており、また、中小水力発電については、流量等の立地調査や地元理解の促進による開発リスクの低減等を図っている。

一の5について

 お尋ねについては、例えば、平成三十年度予算において燃料電池の利用拡大に向けたエネファーム等導入支援事業費補助金や省エネルギー投資促進に向けた支援補助金を措置し、「エネファーム」や対象となる住宅等に設置される蓄電池、工場等に設置される省エネルギー機器等の導入支援を引き続き行っている。

一の6について

 省エネルギー効果の高い家庭用機器等の普及促進については、例えば、エネルギーの使用の合理化等に関する法律(昭和五十四年法律第四十九号)に基づき、エアコンディショナー、電気冷蔵庫、エル・イー・ディー・ランプ等二十九機器をトップランナー制度の対象に指定し、当該機器のエネルギー消費性能の向上を図るなどしている。

一の7について

 水素エネルギーについて、「水素基本戦略」(平成二十九年十二月二十六日再生可能エネルギー・水素等関係閣僚会議決定)等に基づき、多様な技術開発やインフラ整備など水素技術の社会実装のための支援等を強化していく。また、福島県においては再生可能エネルギーから水素を製造し、平成三十二年に東京でも利用する実証プロジェクトが本格的に動き出している。このような取組を踏まえ、我が国が世界をリードする水素技術を、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機に世界に発信していく。

一の8について

 お尋ねについては、環境問題への対応と経済成長の実現の観点から、電気自動車等の次世代自動車の普及の促進に努めてきており、具体的には、高性能な次世代車載用蓄電池や高効率モーターの製造に必要な磁石材料等の技術開発に対する支援措置のほか、次世代自動車の購入及び充電設備の整備に対する助成措置を講じている。

二の1について

 原子力発電所の再稼働については、「エネルギー基本計画」に基づき、適切に対応している。

二の2について

 原子力発電所の安全審査については、原子力規制委員会において、審査の結果をまとめた審査書の策定及び公開、複数の事業者が同時に出席する合同の審査会合の開催等により、効果的かつ効率的な審査が進められている。

二の3について

 高レベル放射性廃棄物の最終処分については、国民理解や関心を深めるため、地層処分の仕組みや地域の科学的特性の理解促進のための対話活動をこれまで以上にきめ細かく行うこととしている。

二の4について

 お尋ねについては、廃炉の進展が原子力発電所の立地市町村の経済、雇用、財政等に与える影響を勘案しつつ、廃炉を円滑に進めていくために、立地市町村への影響を緩和するため、交付金等による一定の措置を講じている。

二の5について

 お尋ねについては、「エネルギー基本計画」に記載されているとおり、高いレベルの原子力技術・人材を維持・発展することが必要であると認識している。
 このため、大学や高等専門学校等において、原子力関連教育におけるカリキュラムの高度化・国際化等を通じ、原子力分野の人材の育成を支援する取組を進めている。