質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一六三号

内閣参質一九六第一六三号
  平成三十年七月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する再質問に対する答弁書

一について

 我が国による「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の世界遺産一覧表への記載の推薦(以下「本件推薦」という。)については、国際自然保護連合による延期の勧告(以下「延期勧告」という。)を踏まえ、平成三十年六月一日に取り下げることを閣議了解した。政府としては、延期勧告の理由を踏まえて推薦書を修正し、可能な限り早期の登録を目指している。

二から四までについて

 本件推薦について国際自然保護連合が作成した評価書(以下「評価書」という。)における御指摘の記載は政府の認識と一致しており、奄美大島におけるクルーズ船の寄港地の開発に関する具体的な計画は承知しておらず、「矛盾している」との御指摘は当たらないと考えている。
 クルーズ船の寄港地の開発については、それぞれの地元自治体で判断されるべきものであり、地元自治体が寄港地の開発をする旨を判断した場合には、政府としては、当該寄港地の開発の具体化に向けて、当該地元自治体と連携しつつ検討を進めてまいりたい。

五について

 政府としては、奄美大島はクルーズ船の受入れが可能な人口を有していると考えている。

六について

 お尋ねの「当該分析」については、クルーズ船の寄港地の開発が具体化していない現段階においては、寄港地の開発により自然環境に対してどのような影響がどの程度生じるかについて想定することは困難であり、今後、寄港地の開発の具体化の状況に応じて実施が検討されるべきと考えている。

七について

 お尋ねについては、西表島の一部の河川においてカヌーの混雑が発生していると承知している。

八について

 評価書において、御指摘の記載がされたことは事実であるが、当該記載は、延期勧告の理由ではなく、推薦国に対して対応を要請しているものである。延期勧告の理由は、先の答弁書(平成三十年六月二十二日内閣参質一九六第一三二号。以下「前回答弁書」という。)九及び十一から十四までについてで述べたとおりである。

九について

 奄美大島において、観光利用が集中する可能性のある地域や時間に行われる自然観察のルールの構築や、当該ルールの観光客への普及啓発等を行う施設の整備の検討を進めていくこととしている。なお、同島におけるクルーズ船の寄港地の開発に関しては、現時点においては具体的な計画が存在していないため、御指摘の「大型クルーズ船の観光客」に係る対応についてお答えすることは困難である。

十について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、一般的に申し上げれば、外来生物の非意図的導入の観点で、クルーズ船により来訪する観光客がその他の手段で来訪する観光客と比較して、自然環境に対して悪影響を及ぼす可能性が特に高いとは考えていない。

十一について

 御指摘の「調査研究」は、個別具体の観光政策についてのものではなく、今後望まれる持続可能な観光政策の在り方の検討に資することを目的として行ったものである。

十二について

 お尋ねについては、前回答弁書十についてでお答えしたとおりである。なお、クルーズ船の寄港地の開発に当たっては様々な要素を考慮することが必要であると考えている。