質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五九号

内閣参質一九六第一五九号
  平成三十年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出裁量労働制の現状と課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出裁量労働制の現状と課題に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「裁量労働制の対象となった労働者の一時間あたりの報酬単価の平均は、同制度の適用前後でどのような変化があったのか」については承知していない。

二について

 お尋ねの「対象となり得る労働者」の意味するところが明らかではなく、お答えすることは困難である。

三について

 お尋ねの「同制度を違法に利用していたことが明らかとなった事例」については、平成三十年三月五日の参議院予算委員会において、加藤厚生労働大臣が、「裁量労働制に係る監督指導を実施した件数について、平成二十九年に裁量労働制に関し是正勧告を行った事業数は百三十事業場であります」と答弁したところである。なお、平成二十八年以前に労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第三十八条の三及び第三十八条の四の規定によるみなし労働時間制度(以下「裁量労働制」という。)に関し、是正勧告を行った事業場数については、統計をとっておらず、お答えすることは困難である。
 また、労働基準監督機関においては、裁量労働制について同法等に違反するおそれのある事案を把握した場合には、事業場に対して監督指導を実施し、同法等の違反が認められた場合には、使用者に対して是正の指導等を行っている。

四及び七について

 三についてでお答えしたとおり、労働基準監督機関においては、裁量労働制について労働基準法等に違反するおそれのある事案を把握した場合には、事業場に対して監督指導を実施し、同法等の違反が認められた場合には、使用者に対して是正の指導等を行っている。

五について

 裁量労働制について、労働基準法第三十八条の三及び第三十八条の四に規定する要件を満たさず、同法第四章の労働時間に関する規定の適用に当たっての労働時間のみなしの効果が生じないことにより、同法第三十二条又は第三十七条第一項の違反となる場合には、同法第百十九条により、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金の対象となる。

六について

 労働基準監督機関の監督指導においては、裁量労働制の協定(労働基準法第三十八条の三第一項に規定する協定をいう。)や決議(同法第三十八条の四第一項に規定する決議又は労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成四年法律第九十号)第七条第一項に規定する労働時間等設定改善委員会の決議をいう。)で定めるみなし労働時間と裁量労働制の対象労働者の労働時間の状況との間に相当程度以上の乖離が認められる場合には、使用者に対して、当該みなし労働時間の見直しなど、必要な見直しを行うよう指導している。