質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五八号

内閣参質一九六第一五八号
  平成三十年七月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出時間外労働の上限規制の実効性を担保するための「労働時間の適正な把握」に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出時間外労働の上限規制の実効性を担保するための「労働時間の適正な把握」に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)においては、第三十二条において労働時間の限度を設けるとともに、第三十七条において時間外労働等についての割増賃金の支払を義務付けており、使用者が労働時間を適切に把握していなかったこと等により、これらの規定に違反した場合には、第百十九条において、六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処することとされている。また、同法第百八条及び第百九条においては、使用者は、賃金計算の基礎となる事項を賃金台帳に記入し、保存しなければならないとされており、使用者が賃金台帳に労働時間数を記入していない、故意に虚偽の労働時間数を記入した、労働時間の記録に関する書類について保存していない等の場合には、同法第百二十条において、三十万円以下の罰金に処することとされている。このため、労働時間の把握自体については、罰則を設けていない。
 その上で、御指摘のガイドラインにおいては、使用者は労働時間を適正に把握するなど労働時間を適切に管理する責務を有していることや、使用者が労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、記録する方法として、使用者の現認による確認のほか、タイムカードやパソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認することが原則であることなどを規定しており、労働時間の適正な把握に資するものとなっていると考える。
 また、御指摘の「労働紛争時の労働時間の証明責任」については、個別の事案に応じて裁判所において判断されるものである。
 さらに、労働基準法第百八条及び第百九条の規定による労働時間に係る記録、保存については、監督機関による労働時間等の把握、使用者による適正な賃金支払等の観点から義務付けられているものであり、御指摘の労働時間の記録の開示については、個々の労使間で決定されるものと考えている。