質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五三号

内閣参質一九六第一五三号
  平成三十年七月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出公的医療保険制度の維持に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出公的医療保険制度の維持に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 お尋ねの「「保険」の名に値する」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「高齢者医療への拠出金」については、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要なものであり、高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、現役世代に応分の負担をいただくことは必要であると考えている。
 また、社会保障の給付と負担の姿を幅広く共有するための議論の素材を提供するため、「二千四十年を見据えた社会保障の将来見通し(議論の素材)」(平成三十年五月二十一日経済財政諮問会議提出)を公表したところであり、こうした見通しも踏まえつつ、公的医療保険制度の持続可能性を高めるため、その給付と負担の在り方について引き続き検討し、必要な見直しを行ってまいりたい。
 なお、お尋ねの「二〇二五年度、二〇四〇年度に健保組合の義務的経費に占める拠出金の割合」については、試算を行っていないため、お答えすることは困難である。

三について

 健康保険組合(以下「組合」という。)については、その保険料率が一定の水準となることをもって直ちに解散につながるものではないと考えており、その時々の社会経済情勢や被用者保険全体の保険料率の動向等も踏まえつつ、組合の積立金の状況や健康保険法(大正十一年法律第七十号)第五十三条に規定する付加給付の内容も含めた個々の組合ごとの財政や事業運営の状況について、よく検証していくことが必要と考えている。また、組合は公的医療保険制度の重要な担い手であるため、組合の財政健全化は重要な課題であると考えており、同法第二十八条第一項の規定による指定を受けた組合(以下「指定組合」という。)等に対して、その財政状況が悪化した要因を踏まえた財政の健全化や予算の適正な作成についての助言・指導を行っているところであるが、今後は、これに加え、健康保険組合連合会(以下「連合会」という。)とも連携して、財政が悪化した組合についてその要因等を丁寧に検証・分析し、財政が悪化する前の段階から、組合に対する必要な指導や相談等の支援に取り組んでまいりたい。

四について

 三についてで述べたとおり、組合については、その保険料率が一定の水準となることをもって直ちに解散につながるものではないと考えているため、御指摘の「試算」については行う必要がないと考えているが、全国健康保険協会(以下「協会」という。)に対しては、基本的には、その保険給付費等の十六・四パーセント分の国庫補助が行われているため、解散した組合の権利義務を協会が承継した場合、協会に対する国庫補助額は、基本的には、当該組合の保険給付費等の十六・四パーセント相当額増加することとなる。

五について

 お尋ねの「財政の悪化した組合に対する財政支援」の意味するところが必ずしも明らかではないが、三についてで述べたとおり、指定組合等に対して、その財政状況が悪化した要因を踏まえた財政の健全化や予算の適正な作成についての助言・指導を行っており、また、平成二十九年度においては、一指定組合に対して、約二千万円の高齢者医療運営円滑化等補助金による財政支援を行っているところである。
 御指摘の「拠出金の負担軽減策」の在り方については、組合の財政状況等を踏まえつつ、毎年度の予算編成過程で適切に検討してまいりたい。
 御指摘の「財政が悪化する前の段階からの健保組合の支援」については、現在、連合会とも連携して、検討しているところである。