質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四一号

内閣参質一九六第一四一号
  平成三十年六月二十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員藤末健三君提出平成二十八年十月から実施された社会保険の適用範囲拡大等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出平成二十八年十月から実施された社会保険の適用範囲拡大等に関する質問に対する答弁書

一及び三について

 平成三十年二月二十三日に独立行政法人労働政策研究・研修機構が発表した「「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(事業所調査)及び「社会保険の適用拡大に伴う働き方の変化等に関する調査」(短時間労働者調査)結果」(以下「調査結果」という。)によると、被用者保険の適用拡大を受けて、調査対象の短時間労働者において、被用者保険が適用されないよう所定労働時間を短縮する動きが見られたものの、他方で、被用者保険が適用されるよう、かつ手取り収入が増える又は維持できるよう所定労働時間を延長する動きも見られたと承知している。
 また、お尋ねの「当初想定していた効果」の意味するところが必ずしも明らかではないが、これまでの被用者保険の適用拡大により平成三十年一月末時点で少なくとも約三十八万人の短時間労働者が被用者保険の被保険者となっている。これらの点からも、御指摘の「社会保険が適用されるメリット」についての御理解は一定程度得られているものと考えている。
 今後とも、働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに、年金等の所得保障を厚くする観点から、被用者保険の適用拡大を着実に進めていくことが重要と考えており、公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律(平成二十四年法律第六十二号)附則第二条第二項において「政府は、短時間労働者に対する厚生年金保険及び健康保険の適用範囲について、平成三十一年九月三十日までに検討を加え、その結果に基づき、必要な措置を講ずる」とされているところ、当該検討に当たっては、調査結果も踏まえつつ、これまでの被用者保険の適用拡大及びそれが労働者の就業行動に与えた影響についての検証を行ってまいりたい。

二について

 御指摘の「内容を一部変更」した「事業主への助成」が、仮に短時間労働者の週の所定労働時間を延長し、当該短時間労働者に新たに被用者保険が適用された事業主に対して支給されるキャリアアップ助成金を指しているとすれば、その平成二十九年度の支給件数は、八百八十六件である。