質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三二号

内閣参質一九六第一三二号
  平成三十年六月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出奄美大島における大型クルーズ船寄港地開発による社会環境への影響に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の「本調査」(以下「寄港地調査」という。)については、平成二十九年二月に検討を開始し、同年三月から八月にかけて実施したものである。

二について

 寄港地調査において、東アジアの主要なクルーズ船の発着拠点に近接し、外国人の受入れが可能な一定規模の人口を有する島、クルーズ船の寄港実績が一定数以下の島及び世界的に価値の高い観光資源を有する島という条件をいずれも満たすものとして、奄美大島及び徳之島を選定したものである。

三について

 船社から、クルーズ船の日本への寄港の増加、その一環として特に奄美群島への寄港の増加について要望を受けた事実はあるが、寄港地調査の実施について特段の要望等を受けた事実はない。

四及び七について

 政府としては、寄港地調査の結果を踏まえ、寄港地開発の具体化に向けて、地元自治体と連携しつつ検討してまいりたい。また、寄港地調査について、鹿児島県大島郡瀬戸内町(以下「瀬戸内町」という。)が住民への説明会を実施し、様々な意見が出されたことは承知しているが、御指摘の「スケジュール」、「手続き」、「産業界」における「取り組み」及び「寄港地の開発主体」については承知していない。お尋ねの「奄美大島の自然環境の環境収容力(Carrying capacity)を上回る観光客が同島の自然環境に与える影響」の意味するところが必ずしも明らかではないが、寄港地調査においては、クルーズ船の利用客が奄美大島の自然環境に与える影響については特段の分析を行っていない。

五及び六について

 鹿児島県大島郡龍郷町におけるクルーズ船の寄港地の開発について、ロイヤル・カリビアン・クルーズ・リミテッドが同町において住民に説明し、最終的に同町が受入れを断念したことは承知している。この受入れの断念については、同町において判断されたものと承知している。

八について

 瀬戸内町が鹿児島県に対して御指摘の「要望書」を提出したことは承知している。この「要望書」の撤回については、瀬戸内町において判断されたものと承知している。

九及び十一から十四までについて

 クルーズ船の寄港地の開発については、それぞれの地元自治体において判断されるべきものと考えている。なお、我が国が世界遺産一覧表への記載を推薦していた「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」について、国際自然保護連合において延期の勧告がなされた理由は、推薦区域の設定について、主に、推薦地の連続性の観点で、沖縄県の北部訓練場返還地が重要な位置付けにあるが、現段階では推薦地に含まれておらず、また、各島の中の推薦地は連続性に欠け、遺産の価値の証明に不必要な、分断された小規模な区域が複数含まれているという課題があるとされていることであると承知している。

十について

 御指摘の「南西諸島生物多様性優先保全地域地図」は政府が作成したものではないことから、寄港地調査との関係について政府としてコメントすることは差し控えたい。