質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第五三号

内閣参質一九六第五三号
  平成三十年四月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出東海再処理工場の高放射性廃液の早期安定化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出東海再処理工場の高放射性廃液の早期安定化に関する質問に対する答弁書

一について

 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「原子力機構」という。)が、平成二十九年六月九日に原子力規制委員会の東海再処理施設等安全監視チーム(以下「監視チーム」という。)に提出した「ガラス固化技術開発施設(TVF)における固化処理状況について」及び同年九月十一日に監視チームに提出した「ガラス固化処理計画見直し検討の進捗」によると、原子力機構の核燃料サイクル工学研究所再処理施設(以下「東海再処理施設」という。)において、平成二十八年一月二十五日から平成二十九年六月四日までにガラス固化処理を行った高放射性廃液の量は約三十四立方メートルであり、当該期間に製造したガラス固化体は五十九本であったとのことである。なお、当該期間の経過後、東海再処理施設において、高放射性廃液のガラス固化処理及びガラス固化体の製造は行われていないものと承知している。
 また、原子力機構が同年十一月二十八日に監視チームに提出した「ガラス固化処理計画の見直しを踏まえた廃止措置計画への反映について」によると、東海再処理施設において保有している高放射性廃液の量は、同年九月三十日時点で約三百三十八立方メートルであったとのことである。
 さらに、お尋ねの「ガラス固化した高放射性廃液中のセシウム137、ストロンチウム90の放射能量(ベクレル数)」については承知していない。

二について

 原子力機構からは、東海再処理施設におけるガラス固化作業の一時中断は、機器の故障に起因するものであり、対策としては計画的に機器を更新すること等を実施する予定であると聞いている。

三について

 原子力機構が平成三十年二月二十八日に提出した「国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 核燃料サイクル工学研究所 再処理施設に係る廃止措置計画認可申請書の一部補正について」(以下「補正申請」という。)では、東海再処理施設における高放射性廃液のガラス固化について、平成四十年度末までの終了を目指すとされている。

四について

 原子力機構が平成三十年一月二十三日に監視チームに提出した「ガラス固化処理計画の見直しの検討経緯とTVFの状況について」によると、東海再処理施設において保有している高放射性廃液をガラス固化処理した際に製造されるガラス固化体は五百七十一本であると見込まれるとのことである。他方、原子力機構が平成二十九年二月二十日に監視チームに提出した「東海再処理施設の廃止に向けた計画の進捗状況について」によると、東海再処理施設における現在のガラス固化体の保管能力は四百二十本とのことであるが、補正申請では「現在のガラス固化技術開発施設(TVF)におけるガラス固化体の保管を六段積みから九段積みに変更し、四百二十本から六百三十本とするガラス固化体の保管能力の増強を早期に行う。さらには六百三十本を超えるガラス固化体を保管できるよう新規保管施設の建設を必要な時期に行う」とされており、製造されるガラス固化体の全てを東海再処理施設内で貯蔵できるようにする予定であると承知している。
 また、東海再処理施設のガラス固化体を含む高レベル放射性廃棄物の最終処分については、原子力発電環境整備機構において、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律(平成十二年法律第百十七号)に基づく文献調査を行うために、平成十四年以降、文献調査の対象地域に係る公募を全国の自治体に対して実施しているが、現時点において、文献調査の実施には至っていない。このような事情を踏まえ、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針」(平成二十七年五月二十二日閣議決定)を定め、国が前面に立って取り組むこととしている。

五について

 お尋ねの「白金族沈積問題は解決」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、いずれにせよ、原子力機構に対し、東海再処理施設の廃止を、安全確保を大前提として、着実かつ責任を持って進めるように、今後とも指導してまいりたい。

六について

 ガラス固化体の製造方法については、まずは事業者が判断するものと考えている。