質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第五二号

内閣参質一九六第五二号
  平成三十年四月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員川田龍平君提出六ヶ所再処理工場の高レベル廃液の早期安定化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君提出六ヶ所再処理工場の高レベル廃液の早期安定化に関する質問に対する答弁書

一について

 日本原燃株式会社(以下「日本原燃」という。)の再処理事業所再処理施設(以下「六ヶ所再処理施設」という。)において、平成三十年四月二日時点で、平成十八年の御指摘の「アクティブ試験開始」からこれまでの間、処理した高レベル放射性液体廃棄物(以下「高レベル廃液」という。)の量は約百二十五立方メートルであり、また、製造したガラス固化体の本数は三百四十六本であると日本原燃から聞いている。お尋ねの「まだ処理していない高レベル廃液の量」の意味するところが必ずしも明らかではないが、同日時点で、六ヶ所再処理施設における高レベル廃液の貯蔵量については、約二百二十三立方メートルであると日本原燃から聞いている。
 お尋ねの「ガラス固化した高レベル廃液中のセシウム137、ストロンチウム90の放射能量(ベクレル数)」については、日本原燃によれば、日本原燃のノウハウ等に係る事項であるため、回答を差し控えたいとのことであり、政府としても、その量は承知していない。
 お尋ねの「まだ処理していない高レベル廃液をガラス固化」の意味するところが必ずしも明らかではないが、日本原燃が平成二十二年六月三十日に提出した「再処理事業所再処理事業変更許可申請書本文及び添付書類の一部補正について」に記載されている「固体廃棄物の推定年間発生量」における、高レベル廃液とガラス固化体の推定年間発生量との比率が同じであると仮定して日本原燃が試算したところによると、六ヶ所再処理施設に貯蔵されている約二百二十三立方メートルの高レベル廃液は、ガラス固化体約四百三十本分に相当すると日本原燃から聞いている。

二について

 御指摘の「六ヶ所再処理工場が貯蔵する高レベル廃液の量はゼロとされ」、「二〇一八年にIAEAに提出する報告書の案」及び「六ヶ所再処理工場が貯蔵する高レベル廃液の量を実際とは異なりゼロとしている」の意味するところが必ずしも明らかではないが、我が国が使用済燃料管理及び放射性廃棄物管理の安全に関する条約(平成十五年条約第五号)第三十二条の規定に基づき提出する報告書(以下「国別報告書」という。)において、日本原燃が貯蔵する「高レベル放射性廃棄物」としては、使用済燃料の再処理の事業に関する規則(昭和四十六年総理府令第十号)第一条第二項第六号に規定する放射性廃棄物であるものを記載することとしているところ、政府としては、日本原燃から平成二十六年五月十五日付け及び平成二十九年五月十二日付けで提出された放射線業務従事者線量等報告書(平成二十五年度分及び平成二十八年度分)における同号に規定する放射性廃棄物としての「高レベル液体廃棄物」が六ヶ所再処理施設において貯蔵されている旨の記載がないことを基に、平成二十六年及び平成二十九年に我が国が提出した国別報告書において六ヶ所再処理施設において「高レベル液体廃棄物」が貯蔵されていない旨を記載したものである。

三、四、八及び九について

 お尋ねについては、先の答弁書(平成二十九年四月二十八日内閣参質一九三第八七号)一についてでお答えしたとおり、六ヶ所再処理施設における再処理の事業については、現在、原子力規制委員会において、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)及び同法の規定に基づく原子力規制委員会規則等に定める基準に係る適合性審査を行っているところであって、六ヶ所再処理施設の高レベル廃液については、一連の適合性審査等を行っている間は、御指摘の「ガラス固化」を開始することが認められないことから、冷却機能を確保して保管することが重要と考えている。
 なお、御指摘の「使用済燃料再処理施設に関する審査業務の流れについて」における「施設のリスクを低減させるための活動」についての記述は、「供用中の核燃料施設」に係るものであるところ、六ヶ所再処理施設は、「供用中の核燃料施設」ではなく、「建設中の核燃料施設」である。

五について

 御指摘の「技術的な問題を起こさずに高レベル廃液のガラス固化を行う」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

六について

 平成二十二年七月二十八日に日本原燃から提出された「再処理施設高レベル廃液ガラス固化建屋ガラス溶融炉(A系列)の一部損傷について(最終報告)」において、「天井レンガの一部が損傷していることが確認された」とされており、同最終報告は国立国会図書館のホームページにおいて公表されている。

七について

 ガラス固化体の製造方法については、まずは事業者が判断するものと考えている。