質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第三〇号

内閣参質一九六第三〇号
  平成三十年三月九日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出バス事業の安全問題及び地方路線問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出バス事業の安全問題及び地方路線問題に関する質問に対する答弁書

一について

 旅客自動車運送事業者及び貨物自動車運送事業者に対する監査を実施する国土交通省地方運輸局の職員の数(本年二月末日時点)並びに旅客自動車運送事業者の数及び貨物自動車運送事業者の数の合計数(平成二十八年三月末日時点)を地方運輸局別にお示しすると、次のとおりである。
 北海道運輸局 三十八名 一万二千九百二
 東北運輸局 四十二名 一万六千九百八十七
 関東運輸局 百六名 十万六千三十九
 北陸信越運輸局 三十名 一万二千三百七十三
 中部運輸局 四十四名 二万四千八百五十七
 近畿運輸局 五十八名 四万六千百六十三
 中国運輸局 三十四名 一万七千百三十三
 四国運輸局 二十四名 八千八百九十八
 九州運輸局 四十四名 二万七千七百九十五

二及び三について

 御指摘の道路運送法の一部を改正する法律(平成二十八年法律第百号)においては、旅客自動車運送事業者への巡回指導等の適正化事業を行うことにより国の監査機能を補完する役割を担う民間団体である適正化機関(道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第四十三条の二第一項に規定する適正化機関をいう。以下同じ。)として指定された者が貸切バス事業について存在していなかったことから、貸切バス事業についての適正化事業の実施が図られることとなるよう、貸切バス事業に係る適正化機関である一般貸切旅客自動車運送適正化機関が貸切バス事業者から負担金を徴収し、適正化事業の実施に必要な経費に充てることができることとする等の措置を講じたものである。
 その結果、昨年六月までに、全ての地方運輸局の管轄区域内において一般貸切旅客自動車運送適正化機関が指定されており、これにより、一般貸切旅客自動車運送適正化機関が貸切バス事業者への巡回指導を行い、その法令の遵守状況を確認し、悪質な法令違反が認められた貸切バス事業者について国に報告する体制が整備されたところであり、実効ある貸切バス事業の適正化が図られるものと考えている。
 国土交通省の職員による旅客自動車運送事業者及び貨物自動車運送事業者に対する監査については、監査を実施する職員を平成二十九年度に五十四人増員したほか、一般貸切旅客自動車運送適正化機関、タクシー事業に係る適正化機関並びにトラック事業に係る地方貨物自動車運送適正化事業実施機関及び全国貨物自動車運送適正化事業実施機関と連携し、悪質な事業者に対し、重点的な監査を実施しているところであり、引き続き監査の実効性の確保に努めてまいりたい。

四について

 お尋ねの一般貸切旅客自動車運送適正化機関の数は、各地方運輸局の管轄区域内にそれぞれ一である。
 また、お尋ねに関し、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百六条の二十四第二項の規定により再就職先の届出を行った国家公務員の退職者については、一般貸切旅客自動車運送適正化機関に役員として再就職した者はおらず、職員として再就職した者は、北陸信越運輸局を退職し、適正化事業巡回指導員として一般社団法人北陸信越貸切バス適正化センターに再就職した者の一名である。独立行政法人の退職者については、国土交通省が一般貸切旅客自動車運送適正化機関に対し確認したところによると、当該機関に役職員として再就職した者はいない。

五について

 御指摘の「バス事業のあり方検討会」における労働組合関係者の委員については、全国的な組織であって多数の運転者を構成員とするものの代表者を選定したものである。

六について

 御指摘の「地方路線も含めた公共交通全体」の維持については、我が国において人口減少や高齢化が進む中、重要な課題であると考えており、各地域における乗合バス事業の状況を把握し、検証しつつ、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成十九年法律第五十九号)の枠組みを活用した地域の取組を支援することを始め、地域公共交通の維持のための政策を進めてまいりたい。