質問主意書

第196回国会(常会)

答弁書


答弁書第二三号

内閣参質一九六第二三号
  平成三十年三月二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員山本太郎君提出生活保護受給者への後発医薬品使用原則化に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出生活保護受給者への後発医薬品使用原則化に関する質問に対する答弁書

一及び四について

 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会報告書(平成二十九年十二月十五日)において、後発医薬品(生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第三十四条第三項に規定する後発医薬品をいう。以下同じ。)について、「都道府県ごとに使用割合に差があると同時に、一部では使用割合の伸びが鈍化してきているとの指摘もある。また、医師等が一般名で処方したにもかかわらず薬局において後発医薬品が調剤されなかった理由として、「患者の意向」の割合が六割以上という調査結果もある。制度に対する国民の信頼を確保するため、更なる取組が求められている。後発医薬品については、更なる使用促進のため、その使用を原則とすることが適当である。その際、医師又は歯科医師が後発医薬品の使用を可能と認めていることや、薬局等に在庫がなく、すぐに必要な薬剤の取寄せができない等の問題がないことなど、必要な条件を満たした上で実施するよう留意すべきである。」とされており、これを踏まえて、平成三十年二月九日に閣議決定し、今国会に提出した生活困窮者等の自立を促進するための生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案(以下「改正法案」という。)において、現物給付によって行う医療扶助のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、「原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする」ことを生活保護法に規定している。

二について

 お尋ねの「目標」については、御指摘の「経済財政運営と改革の基本方針二○一七」(平成二十九年六月九日閣議決定)において、「二千二十年(平成三十二年)九月までに、後発医薬品の使用割合を八十%とし、できる限り早期に達成できるよう、更なる使用促進策を検討する」とあり、これに加え、生活保護受給者の後発医薬品の使用割合について、「経済・財政再生計画改革工程表二○一七改定版」(平成二十九年十二月二十一日経済財政諮問会議決定)において、「二千十七年央までに七十五%、二千十八年度までに八十%」としている。

三について

 お尋ねの効果については、後発医薬品の数量割合(医療扶助の診療報酬明細書及び調剤報酬明細書における後発医薬品の数量を、先発医薬品(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四第一項各号に掲げる医薬品並びに同項各号に掲げる医薬品に係る同法第十四条又は第十九条の二の規定による製造販売の承認(以下「製造販売の承認」という。)を受けた者が当該製造販売の承認を受けた医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一であって形状、有効成分の含量又は有効成分以外の成分若しくはその含量が異なる医薬品に係る製造販売の承認を受けた場合における当該医薬品をいう。以下同じ。)であって後発医薬品があるものの数量と後発医薬品の数量の合計で除した数値をいう。)が平成二十九年度の約〇・七二から仮に平成三十年度に〇・八となった場合、後発医薬品がある先発医薬品の給付に要する費用の減少額と後発医薬品の医療扶助の給付に要する費用の増加額との差が約百億円となると推計している。
 また、当該額の国庫負担分の平成二十九年度一般会計当初予算における社会保障関係費に対する割合でみると、約〇・〇二パーセントである。

五、六及び八について

 現在は、生活保護法に基づき、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めることとしている。また、一及び四についてでお答えしたとおり、改正法案において、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、「原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとする」ことを生活保護法に規定している。

七について

 一般的に、医療費の公費負担を行う際には、所得に応じて一部自己負担を求めているものがあることなどから、「後発医薬品を選択する動機付けが働きにくい状況」に該当するかについては、一概にお答えすることは困難である。

九について

 生活保護法に基づく医療扶助における後発医薬品の使用については、現行の生活保護法においても「可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする」とされているところである。

十について

 政府として、被保護者以外の者に対して、御指摘の「後発医薬品の原則使用を法制化」することは、現時点では予定していない。

十一について

 政府としては、現物給付によって行う医療扶助のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的知見に基づき後発医薬品を使用することができると認めたものについては、原則として、後発医薬品によりその給付を行うものとすることは、二についてでお答えした目標の達成に資するものであると考えている。