質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二四一号

安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」発言に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月二十日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   安倍総理の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」発言に関する質問主意書

 安倍総理は、平成二十九年二月十七日の衆議院予算委員会において福島伸亨衆議院議員の質問に対し、「いずれにいたしましても、繰り返して申し上げますが、私も妻も一切、この認可にもあるいは国有地の払い下げにも関係ないわけでありまして(中略)私や妻が関係していたということになれば、まさに私は、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめるということははっきりと申し上げておきたい。」などと答弁した。
 ところが、安倍総理は、平成三十年五月二十八日の参議院予算委員会において、「不正というのは何でしょうか。不正というのは、例えば金品を授受をして、授受をしてですね、行政にこれはこういうふうに政策を変えろと、こういうことであります。これがまさに今まで政治の世界においては大きな問題になってきた、贈収賄として問題になってきたところであります。まず、それでは全くないということは申し上げておきたいと。そして、そういう私は文脈の中において、一切関わっていないということを申し上げているわけでございます。そういう質問が出たときには、それは今までも……(発言する者あり)いや、今までも何回もそういう私は答弁をもうこの一年間ずっとやっているんですから、同じ答弁をさせていただいております。」と答弁するなど、一転して、平成二十九年答弁における「関係」は、贈収賄の関係に限定される旨答弁した。
 これを踏まえ、以下質問する。

一 本年六月一日の参議院本会議における「二月十七日の質疑は、福島議員は、昭恵夫人が名誉校長になっていることについて、この事実、総理は御存じでしょうかと質問し、さらに、安倍晋三記念小学校の名を利用した寄附金集めについて、こうした名目でお金を集めているということを総理は御存じでしたでしょうかと質問したのに対して、安倍総理は、それぞれについて、一切関わっていない、もし関わっていたのであるなら辞める、一切関係もない、関係したということになれば辞職すると繰り返し答弁しているのであります。要するに、名誉校長昭恵夫人、安倍晋三記念小学校という関係性の事実を御存じでしょうかと尋ねた福島議員に対し、安倍総理は、自分らは、この認可や払下げには一切関わっていない、関係もないと言い張っていただけなのであり、その文脈上も文理上も、贈収賄をしていないとの主張は全く入り込む余地はないのであります。菅長官に伺います。二月十七日の福島議員の会議録の中で、安倍総理が主張するように、これが贈収賄の関係に限定されていると論理的に読み取ることができる安倍総理の答弁箇所、あるいは福島議員の質問箇所は存在するのでしょうか。もし存在すると考えるのであれば、その会議録の箇所を読み上げ、お示しいただくことを求めます。」との私の質問に対して、菅官房長官は「昨年二月十七日、質疑の中で、福島議員から、脱法的な疑いがある、土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況もおかしいとの旨の発言があり、総理は答弁されました。」と答弁している。
 この答弁で菅長官が示した会議録の箇所以外に「二月十七日の福島議員の会議録の中で、安倍総理が主張するように、これが贈収賄の関係に限定されていると論理的に読み取ることができる安倍総理の答弁箇所、あるいは福島議員の質問箇所」であると政府が認識する会議録の箇所が存在すればそれを示されたい。そうした箇所が存在しないと認識する場合はその旨、答弁されたい。

二 前記一について、福島議員は当時、「私立大学でできないものを今回私立小学校でやって、法律を潜脱していて、脱法的な疑いがあるわけですよ。土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況でもおかしいというのがこれなんですね。あえて言いますけれども、この小学校の名誉校長とされているのが安倍昭恵先生という方で、右を見ると、安倍晋三内閣総理大臣夫人と書いております。この理事長の籠池先生の教育に対する熱い思いに感銘を受け、このたび名誉校長に就任させていただきましたと。この事実、総理は御存じでしょうか。」と質問していたのであり、菅官房長官が答弁で指摘した「昨年二月十七日、質疑の中で、福島議員から、脱法的な疑いがある、土地を買う値段もおかしければ、設置の認可の状況もおかしいとの旨の発言があり」とする部分は、私立大学の開校に係る法制度と私立小学校の開校に係る法制度の違いに関して「法律を潜脱して」又は「脱法的な疑い」と述べたものであり、これらは刑法犯罪である贈収賄とは全く関係のない法律問題を指摘したのであって、この指摘を受けた安倍総理の答弁について、これが、贈収賄に限定した趣旨であったと強弁するのは論理破綻した詭弁も甚だしいのではないか。

三 前記二について、安倍総理は福島議員の「法律を潜脱していて、脱法的な疑いがあるわけですよ。」との質問の、「法律」とはどのような法律であると考えたのか、具体的な法律名等を示されたい。また、そうした考えが読み取れる会議録の箇所があればそれを示されたい。

四 仮に、安倍総理が籠池氏から金銭などを授受して認可や国有地の払い下げに関わる贈収賄を行っていたのであれば総理大臣や国会議員を辞めるのは当然であるところ、安倍総理が一年以上にわたり限定を付さずに、「関係していたらやめる」と言ってきたことを前提に国会審議が行われてきたにもかかわらず、財務省が公表した改ざん前の決裁文書等に森友学園の土地処分と安倍昭恵夫人が一定の関係にあったことを示す記載があることが明らかになった途端に、贈収賄の関係性に限定することは、卑怯そのものではないか。

五 前記一から四について、政府として合理的な説明ができない場合、安倍総理は自らの国会答弁に基づき、森友学園を巡る認可あるいは国有地払い下げとの関係を認めて、内閣総理大臣及び国会議員を辞職すべきではないか。

  右質問する。