質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二三七号

第百八十九回国会に提出した「昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官答弁及び憲法第九条の政府解釈と昭和四十七年政府見解に関する質問主意書」に対する答弁書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月二十日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   第百八十九回国会に提出した「昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官答弁及び憲法第九条の政府解釈と昭和四十七年政府見解に関する質問主意書」に対する答弁書に関する質問主意書

 政府は、「参議院議員小西洋之君提出昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官答弁及び憲法第九条の政府解釈と昭和四十七年政府見解に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一八九第三六四号)において、昭和四十七年九月十四日の参議院決算委員会における吉國内閣法制局長官(当時)による「憲法の前文においてもそうでございますし、また、憲法の第十三条の規定を見ましても、日本国が、この国土が他国に侵略をせられまして国民が非常な苦しみにおちいるということを放置するというところまで憲法が命じておるものではない。第十二条からいたしましても、生命、自由及び幸福追求に関する国民の権利は立法、行政、司法その他の国政の上で最大の尊重を必要とすると書いてございますので、いよいよぎりぎりの最後のところでは、この国土がじゅうりんをせられて国民が苦しむ状態を容認するものではない。したがって、この国土が他国の武力によって侵されて国民が塗炭の苦しみにあえがなければならない。その直前の段階においては、自衛のため必要な行動はとれるんだというのが私どもの前々からの考え方でございます」(「第十二条」とあるのは「第十三条」のことであると考えられる。以下同じ。)、「憲法前文なり、憲法第十二条の規定から考えまして、日本は自衛のため必要な最小限度の措置をとることは許されている。その最小限度の措置と申しますのは、説明のしかたとしては、わが国が他国の武力に侵されて、国民がその武力に圧倒されて苦しまなければならないというところまで命じておるものではない。国が、国土が侵略された場合には国土を守るため、国土、国民を防衛するために必要な措置をとることまでは認められるのだという説明のしかたをしております」、「侵略が現実に起こった場合に、これは平和的手段では防げない、その場合に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が根底からくつがえされるおそれがある。その場合に、自衛のため必要な措置をとることを憲法が禁じているものではない、というのが憲法第九条に対する私どものいままでの解釈の論理の根底でございます」、「わが国の国土が侵されて、その結果国民の生命、自由及び幸福追求に関する権利が侵されるということがないようにする」、「わが国が侵略をされてわが国民の生命、自由及び幸福追求の権利が侵されるというときに、この自国を防衛するために必要な措置をとるというのは、憲法九条でかろうじて認められる自衛のための行動だ」及び「わが国が侵略された場合に、わが国の国民の生命、自由及び幸福追求の権利を守るためにその侵略を排除するための措置をとるというのが自衛行動だという考え方」との答弁について、「昭和四十七年政府見解において示されている(一)及び(二)の基本的な論理と(三)の結論とを区分することなく一体として述べているものであり、昭和四十七年の政府見解において論理的に整理された(一)及び(二)の基本的な論理を含んでいるものである」との旨を答弁している。
 これを踏まえ、以下質問する。

一 吉國内閣法制局長官の答弁はどれも、質疑者からの憲法第九条において集団的自衛権行使はなぜ違憲となるのかとの趣旨の質問に対し、憲法第九条の下では我が国においては我が国に対する外国の武力攻撃が発生した場合でない限り一切の武力を行使することができないという旨の憲法第九条に係る従来の政府解釈の基本論理を分かりやすく答弁しているだけのものであり、これらの答弁について限定的な集団的自衛権行使を許容する「(一)及び(二)の基本的な論理」なるものが「(三)の結論とを区分することなく一体として述べている」などと理解することは論理的に不可能ではないか。なぜ、このような理解を行うことができるのか、「区分することなく一体として述べている」と考える具体的な根拠等について、政府の見解を示されたい。

二 吉國内閣法制局長官の答弁はどれも、質疑者からの憲法第九条において集団的自衛権行使はなぜ違憲となるのかとの趣旨の質問に対し、憲法第九条の下では我が国においては我が国に対する外国の武力攻撃が発生した場合でない限り一切の武力を行使することができないという旨の憲法第九条に係る従来の政府解釈の基本論理を分かりやすく答弁しているだけのものであり、これらの答弁について「昭和四十七年の政府見解において論理的に整理された(一)及び(二)の基本的な論理を含んでいるものである」と理解することは論理的に不可能ではないか。なぜ、このような理解を行うことができるのか、「(一)及び(二)の基本的な論理を含んでいるものである」と考える具体的な根拠等について、政府の見解を示されたい。

  右質問する。