質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二三四号

憲法の変遷に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月二十日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   憲法の変遷に関する質問主意書

 政府はこれまで、憲法を始めとする法令の解釈の在り方について「憲法を始めとする法令の解釈は、当該法令の規定の文言、趣旨等に即しつつ、立案者の意図や立案の背景となる社会情勢等を考慮し、また、議論の積み重ねのあるものについては全体の整合性を保つことにも留意して論理的に確定されるべきものであり、政府による憲法の解釈は、このような考え方に基づき、それぞれ論理的な追求の結果として示されてきたものであって、諸情勢の変化とそれから生ずる新たな要請を考慮すべきことは当然であるとしても、なお、前記のような考え方を離れて政府が自由に憲法の解釈を変更することができるという性質のものではないと考えている。いずれにせよ、法令の解釈は、論理的になされるべきものであり、論理を離れて、国政選挙の結果によって左右されるというものではない。」などとした上で、「政府の憲法解釈には論理的整合性と法的安定性が求められる。」との見解を示し、更には、法的安定性について「法の制定、改廃や、法の適用を安定的に行い、ある行為がどのような法的効果を生ずるかが予見可能な状態をいい、人々の法秩序に対する信頼を保護する原則を指すものと考えている。仮に、政府において、論理的整合性に留意することなく、憲法解釈を便宜的、意図的に変更するようなことをするとすれば、法的安定性を害し、政府の憲法解釈ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれかねないと考えられる。」との見解を示した上で、「「論理的整合性」と「法的安定性」とは密接に関連するものである」との見解を示しているところである。
 これを踏まえ、以下質問する。

一 いわゆる憲法の変遷について、政府の考える理解を説明されたい。

二 憲法の変遷について、「憲法規範に真正面から反するような現実が生起し、それが、一定の程度に達したとき、憲法規範を改正したのと同じような法的効果を生ずると解すること」との旨の理解があるが(芦部信喜「憲法第六版」、二〇一五年、岩波書店)、こうした意味での憲法の変遷及び前記一で質問した政府の考える憲法の変遷は、政府における憲法を始めとする法令の解釈の在り方に照らし認めることが出来ない考え方であるとの見解に立つか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。