質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第二一〇号

最低賃金の水準を見直す必要性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   最低賃金の水準を見直す必要性に関する質問主意書

 最低賃金法は第一条において、「この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。」としている。現在の最低賃金の水準では、同法の目的を十全に果たしうるとは到底思われない。
 以上の認識の下に、以下の通り質問する。

一 最低賃金の引上げに関しては、企業の経営への悪影響とそれに伴う失業率の大幅な上昇を懸念する意見がある。先進国が過去行った最低賃金引上げにより、当該国の企業の経営及び失業率にどのような影響が生じたのか、政府として調査・分析していればその概要を示されたい。

二 最低賃金の水準とその国の生産性との間の相関関係について、政府は如何なる認識を持っているか。

三 現在の最低賃金の水準では、フルタイムで働いても月収にして十四万円程度にしかならず、社会保険料等を差し引いた手取額では約十二万円程度しか残らない。この金額は、健康で文化的な最低限度の生活を維持していく上で十分と考えているか。
 また、日本の最低賃金の水準は先進国と比較して低いと考えるが、他の先進国と比較した場合の日本の最低賃金の水準をどう捉えているか。

四 地域間の賃金格差に関する政府の認識を示されたい。地域間の賃金格差の拡大を容認するのか、それとも是正すべきと考えているのか。

五 地域別の最低賃金の推移を見ると、都市と地方の金額差は開く一方である。実際、最低賃金が最も高い東京都と最も低い県との差は、二〇〇六年と二〇一六年の十年間で百九円から二百十八円へと拡大している。
 地域別に最低賃金を設けることは決して国際標準というわけではなく、イギリス、ドイツ、フランスなどの欧米主要国では国内一律の最低賃金が設けられている。また、地域間の賃金格差は、都市への一極集中を加速させ、都市と地方の格差を固定する側面がある。
 これらを考え合わせると、日本においても国内一律の最低賃金を設けることを研究すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

六 平成二十八年二月十二日に私が提出した「同一労働同一賃金の実現に関する質問主意書」(第百九十回国会質問第四七号)の五において、参議院厚生労働委員会での「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案に対する附帯決議」(平成二十七年九月八日)に規定された特定最低賃金の活用についての検討の現状等を質問した。これに対して政府は、「今後とも御指摘の附帯決議や労使の意見も踏まえながら、特定最低賃金の活用について検討してまいりたい。」と答弁したが、特定最低賃金の活用について、同答弁後の検討の現状、及び今後の具体的な予定を明らかにされたい。

  右質問する。