質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一九〇号

バイオシミラーなどバイオ製品にかかる政府の施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十八日

川田 龍平   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   バイオシミラーなどバイオ製品にかかる政府の施策に関する質問主意書

 政府は、バイオ産業の育成に力を注ぎ、日本経済の発展の礎にすべく日夜努力を注いでいると推察するところである。昨今では、政府内から、低分子化学合成品の製造に専ら従事する後発医薬品製造企業に対して、バイオシミラーなどのバイオ製品を製造することを強く推奨し、なかには、バイオ医薬品を製造しなければ生き残れないという強い発言をする者もあると聞くところである。
 しかしながら、低分子化合物の合成に比して、高い技術と大きな設備投資を必要とするバイオ医薬品の製造について、専ら低分子化合物の合成に従事する企業に対して、何ら有効な支援策などを提示することなく、漠として業態転換を求めるというのは、いささか無責任な政策誘導と指摘せざるをえない。
 たとえば、バイオシミラーを国家戦略の中心に位置づけ積極的な国費支援をしてきた韓国の事例を鑑みれば、国家戦略として二〇二〇年にバイオシミラー分野で世界一となることを明言し、大統領も含め官民一体となって問題解決に取り組み、世界最大のバイオシミラー生産国の一つとしての地位を築き上げている。韓国にあっては、バイオ製剤の生産拠点のインフラ整備のみならず、生産にかかる専門家の育成や技術者の再教育も含めた総合戦略を国が関与しながら進めてきたと聞くところである。財政支援については、たとえば、二〇一三年には、バイオシミラーを製造する企業四社に対して約二十三億円の国費支援が行われたと聞く。

一 政府として、我が国の後発医薬品産業にバイオシミラーの製造を担わせ、「殖産興業」政策の目玉としてバイオシミラー産業を位置づけようと考えるのであれば、民間企業に資金調達を任せるのではなく、韓国並みの国家的プロジェクトとして民間企業に対する支援体制を盤石とした上で取り組むべきと考える。バイオシミラー産業育成のために具体的な財政支援策や税制優遇措置などを計画しているのかについて政府の腹案を明らかにされたい。

二 将来のバイオ技術開発を担う理科系技術者及び研究者を輩出する理科系学部への進学者は、ここ数年の傾向として低迷傾向にあり、「文高理低」の状況が続いている。
 政府が、バイオシミラー産業を含めたバイオ産業全体の活性化を企図し、民間企業に対してバイオシミラーなどバイオ製品の製造への業態転換を促すほどにバイオ産業に期待をしているというのであれば、理科系技術者及び研究者の人材育成についても当然に国家戦略を準備していると想像するところであるが、若年層の理系離れを解消することを企図した政策についての政府の存念を明らかにされたい。

  右質問する。