質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一七九号

大学などの高等教育無償化に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十三日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   大学などの高等教育無償化に関する質問主意書

 本年六月十五日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針二〇一八」(以下「基本方針二〇一八」という。)において、「真に支援が必要な、所得が低い家庭の子供たちに限って、大学などの高等教育無償化を実現する。」とされた。
 このうち、大学等の授業料の減免措置については、住民税非課税世帯(年収二百七十万円未満)の子供たちを対象に、平成三十二年度から、国立大学の場合はその授業料(約五十四万円)を免除し、公立大学の場合は、国立大学の授業料を上限として、また、私立大学の場合は、国立大学の授業料に加え、私立大学の平均授業料と国立大学の授業料の差額の二分の一を加算した額(七十万円程度)までの対応を図るというものであり、一年生に対しては、入学金も減免措置の対象となる。なお、短期大学、高等専門学校、専門学校に通う場合も支援の対象となるというものである。
 ついては、家庭の経済状況にかかわらず教育を受ける権利を保障するとともに、貧困の連鎖を断ち切り格差社会を解消すべきとの観点から、以下質問する。

一 基本方針二〇一八においては、支援の崖・谷間が生じないよう、年収三百万円未満の世帯及び年収三百万円から三百八十万円未満の世帯の子供たちについても支援を行うとしているが、それぞれの支援の内容及び年収の区切りを三百万円と三百八十万円とした理由を示されたい。

二 現在の大学等の授業料減免について、国の予算措置の対象となっている学生は何名程度か。また、基本方針二〇一八で実施するとされた大学等の授業料減免措置の対象となる学生を何名程度と見込んでいるのか。学校種ごとに、人数及び全体に占める割合をそれぞれ示されたい。

三 基本方針二〇一八で実施するとされた大学等の授業料減免措置を実施するために平成三十二年度に追加的に必要となる予算額及び同措置を実施するために平成三十二年度に必要となるトータルの予算額を、それぞれいくらと見込んでいるか明らかにされたい。また、高等教育の無償化を実現するに当たっては、今後、財源不足を理由に支援の額が切り下げられたり、対象者を絞り込むために審査を厳しくしたりするなどということのないよう、必要な財源を確実に確保していくべきであると考えるが、政府の見解を伺う。

四 高等教育の無償化に当たって、政府は、支援対象となる学生や大学等に一定の要件を課すことを検討している。現在、各学校は独自に基準を定め授業料減免を行っているが、政府が定めた要件に合わせ基準を厳しくしたり、支援対象者を削減したりすることが懸念される。国による高等教育の無償化が大学等の独自の取組に与える影響について、政府の見解を伺う。

五 進学に当たっては、受験料や教科書代、私立学校では施設整備費等の学校納付金の負担も大きい。これらにかかる費用の一部については、給付型奨学金で措置されるとのことであるが、この措置により、学生が安心して勉強するために十分な金額が給付されると考えるか、政府の見解を示されたい。

六 基本方針二〇一八では、「中間所得層における大学等へのアクセスの機会均等について検討を継続する」としているが、在学中は授業料や入学金を国が立て替え、卒業後、学生本人が収入に応じて返済する、いわゆる「出世払い方式」の検討状況について、そのメリットとデメリットも含め明らかにされたい。

  右質問する。