質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一七八号

地方公共団体における障害者就労施設等からの調達実績に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月十三日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   地方公共団体における障害者就労施設等からの調達実績に関する質問主意書

 国等による障害者就労施設等からの物品等の調達の推進等に関する法律(以下「障害者優先調達推進法」という。)が施行されてから五年が経過した。平成二十九年十月三十一日現在、同法に基づき地方公共団体が策定する、障害者就労施設等からの物品等の調達方針(以下「調達方針」という。)の策定率が九十二・九パーセントに達するなど、その施行状況については一定の進展が見られる。他方、各地方公共団体における障害者就労施設等からの調達実績には偏りが見られ、都道府県間、また市町村間においても、その差は大きなものとなっており、例えば、熊本県の市町村における平成二十八年度の調達実績を比較すると、調達実績が全くない町村が複数ある一方、熊本市が同県の市町村全体の調達実績額の約七割を占める状況にある。
 障害者優先調達推進法は、障害者就労施設等が供給する物品及び役務に対する需要の増進を図り、それにより障害者の雇用率や工賃を向上させ、障害者就労施設で就労する障害者等の自立を促進することを目的としているが、障害者の住む地域に左右されることなく、全ての障害者に対し、この目的を達成するためには、調達実績の地方公共団体間格差を縮小させること、特に小規模な地方公共団体における調達実績を向上させることが急務であると考えられる。以上を踏まえ、以下質問する。

一 厚生労働省は、これまで工賃向上に向けた取組を積極的に推進してきたものと承知しているが、例えば、就労継続支援B型事業所における平成二十八年度平均工賃は月額一万五千二百九十五円にとどまっている。障害者優先調達推進法の施行により、これまで障害者の工賃向上にどのような効果があったと考えているか、政府の見解を示されたい。

二 調達方針の策定率が百パーセントに近づいているにもかかわらず、地方公共団体間の調達実績には大きな差が生じている。その原因についてどのような分析を行っているか、政府の見解を示されたい。

三 厚生労働省において、調達方針を策定していない地方公共団体名をホームページで公表する等、障害者就労施設等からの物品等の調達が増加するよう、各地方公共団体への働きかけを進めていると承知しているが、調達方針の策定率が百パーセントに近づく中、調達実績の格差是正に向けて、実績が全くない地方公共団体名の公表等、更なる働きかけを進める必要があると考える。こうした働きかけに対する政府の見解について示されたい。

四 厚生労働省は、平成二十八年度から障害者就労施設等が提供する物品等を紹介する全国版の共同受注窓口サイト(ナイスハートネット全国版)を開設していると承知しているが、同サイトが地方公共団体による調達拡大にどの程度の効果を上げていると考えるか。また、調達実績の地方公共団体間格差を縮小させるため、同サイトの運営に対する更なる支援策について検討されているか説明されたい。

  右質問する。