質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一六六号

日本国憲法で保障されている表現の自由と議長警察権との整合性に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年七月六日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日本国憲法で保障されている表現の自由と議長警察権との整合性に関する質問主意書

 平成三十年六月二十八日、参議院厚生労働委員会の傍聴希望者が、着用していた衣服やアクセサリーのデザインに政治的なメッセージ性があるので、アクセサリーを外し、衣服の政治的なメッセージ性のある部分を第三者から見えないようにして傍聴するよう、国家公務員である参議院職員(いわゆる衛視)に指導されたと承知しています。
 政治的なメッセージ性のある衣服やアクセサリーは多く販売されているところ、本事案で参議院職員から指導された衣服やアクセサリーには、「9」の文字がデザインされており、それが日本国憲法第九条に関する示威宣伝にあたるものと判断されたようです。
 本事案における参議院職員の指導は、国会法第百十四条に規定する「各議院の紀律を保持するため、内部警察の権は、この法律及び各議院の定める規則に従い、議長が、これを行う」という議長警察権によります。
 他方、日本国憲法第二十一条では「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と規定されており、「一切の表現の自由」は日本国憲法の効力が及ぶ範囲では最大限尊重されなければなりません。
 そこで、日本国憲法第二十一条と国会法第百十四条との整合性について、政府の解釈を確認したく、以下質問します。

一 日本国憲法第二十一条の規定に基づき、「一切の表現の自由」は、日本国憲法の効力が及ぶ範囲において最大限尊重されるという理解でよろしいですか。

二 前記一に関し、日本国憲法の効力が及ぶ範囲において「一切の表現の自由」が最大限尊重されることに例外が存在するとすれば、どのような場合が想定されるのか明らかにして下さい。

三 前記二において例外が存在する場合、本事案における前記参議院職員による指導は、国会法第百十四条に規定する議長警察権によるものであり、日本国憲法第二十一条の適用の例外に該当するという理解でよろしいですか。

四 前記三に関し、議長は、議院内であれば議長警察権を無制限に行使できるのですか。それとも、議院内も日本国憲法の効力が及ぶ範囲であることには変わりなく、議長警察権は、日本国憲法第二十一条との関係で一定の制限を受けることがあるのですか。日本国憲法第二十一条と国会法第百十四条との整合性について、政府はどのように考えているのか明らかにして下さい。

  右質問する。