質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一五九号

裁量労働制の現状と課題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   裁量労働制の現状と課題に関する質問主意書

 裁量労働制とは、業務の遂行方法が大幅に労働者の裁量に委ねられる一定の業務に携わる労働者について、労働時間の計算を実労働時間ではなくみなし時間によって行うことを認める制度である。裁量労働制に関し、以下の通り質問する。

一 裁量労働制の対象となった労働者の一時間あたりの報酬単価の平均は、同制度の適用前後でどのような変化があったのか、政府の承知するところを明らかにされたい。

二 日本の裁量労働制は、「専門業務型」と「企画業務型」の二種類からなるが、それぞれ対象となり得る労働者の人数を明らかにされたい。

三 裁量労働制を導入するための要件を満たしていないのに同制度を導入していたり、実際には業務の遂行方法に裁量がほとんどない労働者に同制度を適用していたりするなど、同制度を違法に利用していたことが明らかとなった事例は、過去五年で何件か。また、この件数を踏まえ、同制度が違法に利用されている事例を網羅的に把握できていると認識しているか。

四 政府は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」に企画業務型裁量労働制の適用拡大を盛り込むことを断念したが、裁量労働制については同制度を濫用している事例が頻発している現状にある。これについて政府は「厳しく対処」するとしているが、具体的にはどのように対処するのか。

五 裁量労働制の濫用に対しては、行政指導等による是正にとどまらず、罰則規定を法律に設けることにより、濫用をより確実に抑止できるようにするべきではないか。

六 みなし時間と実労働時間とが大きく乖離している場合、これに対して規制当局はどのような対処を行っているか。

七 企画業務型裁量労働制の適用に際しては、対象となる労働者の同意を得ることが必要とされる。しかし、対象となる労働者が同制度の適用を受けることの得失を理解した上で、本人の真意に基づいて同意したのかどうか、疑念を持たざるを得ない事例が多数見受けられる。このような事例に対しどのような対策を行う方針か。

  右質問する。