質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一五八号

時間外労働の上限規制の実効性を担保するための「労働時間の適正な把握」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十九日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   時間外労働の上限規制の実効性を担保するための「労働時間の適正な把握」に関する質問主意書

 「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」(以下「働き方改革関連法」という。)に定められた時間外労働の上限規制の実効性を確保するためには、使用者が労働時間を適正に把握する必要がある。三六協定で定める労働時間の延長時間を法律による上限の時間に合わせても、使用者が労働時間を適正に把握し、実際の労働時間が当該協定で定めた延長時間を超えないようにしなければ、時間外労働の上限規制を行う意味がなくなる。また、時間外の労働時間を使用者側に自己申告する場合に、過少申告をさせるようなことがあってはならない。

一 過労死や過労自殺が認定された事案の中には、使用者が把握している労働時間と労働基準監督署が認定した労働時間との間に乖離があったケースが見られる。労働時間を適正に把握するためには、使用者の現認や客観的な方法により把握しなければならないと法令で規定するだけでは足りず、使用者が労働時間の適正な把握を怠った場合には当該使用者に罰則を適用することにより、労働時間の適正な把握がより確実に実施されるようにするべきではないか。働き方改革関連法において、なぜ当該罰則規定を設けることとしなかったのか、説明されたい。

二 厚生労働省は平成二十九年一月二十日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」を策定した。このガイドラインに、労働時間を客観的な方法により把握することを使用者に義務付ける規定を設けるとともに、使用者により労働時間が客観的に把握されない場合には労働紛争時の労働時間の証明責任は使用者にある旨定めれば、労働時間の適正な把握に資するのではないか。これに対する見解を伺う。

三 労働時間の記録については、労使双方の共有情報であり、労働者が求めればいつでも開示されるものであるべきと考えるが、政府の見解如何。

  右質問する。