質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一四九号

「他国の武力の行使との一体化」に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月二十日

大野 元裕   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「他国の武力の行使との一体化」に関する質問主意書

 重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「重要影響事態法」という。)に関し、以下の通り質問する。

一 平成二十七年六月九日付け政府統一見解「他国の武力の行使との一体化の回避について」の2において、政府は、「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係」を我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかの判断基準の一つとして挙げているが、この「地理的関係」とは、「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」と我が国の後方支援等の「行動がなされる場所」との距離的関係を意味するのか。

二 前記一において、「地理的関係」が「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」と我が国の後方支援等の「行動がなされる場所」との距離的関係を意味する場合、「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」と、我が国の後方支援等の「行動がなされる場所」との距離が、どの程度離れていれば、「他国の武力の行使との一体化」と判断される「地理的関係」とはならないと考えるか。

三 「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」とは、たとえば米軍が日々作成する戦闘作戦行動計画に定められた地域を意味するのか、あるいは現に「戦闘行為」、つまり国際的な武力紛争の一環として行われる、人を殺傷し又はものを破壊する行為が行われている地点を意味するのか。

四 「戦闘活動が行われようとしている」とは、現に戦闘行為が行われてはいないが、戦闘行為への着手と見なされる場合を意味するのか。それ以外の場合を想定しているとすれば、どのような場合を意味するのか明らかにされたい。

五 「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」が、前記三の戦闘作戦行動計画のようなもので明確にされる場合、「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」に隣接する地域は、我が国の後方支援等の活動が他国の武力の行使と一体化しない「実際に戦闘行為が行われる場所とは一線を画する場所」となるか。

六 政府は、重要影響事態法に基づき、我が国が、戦闘作戦行動のために発進準備中の戦闘機に対して行う給油が、当該他国の武力の行使と一体化しないと判断できる理由として、「(給油は)戦闘行為とは異質の活動であること」、「支援する相手方の活動の現況は、あくまで発進に向けた準備中であり、現に戦闘行為を行っているものではないこと」等を挙げているが、仮に当該他国の戦闘機が第三国に対する攻撃の意思を明示している場合であっても、「あくまで発進に向けた準備中であり、現に戦闘行為を行っているものではない」と考えるか。

  右質問する。