質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一三四号

今後の日本の経済連携協定への取組に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月十二日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   今後の日本の経済連携協定への取組に関する質問主意書

 今後の日本の経済発展を図るにあたり、自由貿易を拡大し、域内投資の環境整備による国際分業体制の構築を始めとするグローバルな付加価値ネットワーク(グローバル・バリューチェーン)の形成・深化をもたらすためにも、経済連携協定については積極的に取り組みを進めていく必要があると考えている。但し、経済連携協定の締結により日本の国益を害することにならないか、注意深く検証する必要がある。
 以上の基本認識を踏まえ、以下の通り質問する。

一 東アジア地域の経済成長は世界経済を牽引するものである。東アジア地域における貿易の自由化あるいは効率的なサプライチェーンの構築は、日本の経済発展に不可欠な要素と言える。特に東アジア地域で経済的にも政治的にも大きな地位を占め、なおかつ日本と経済連携協定を締結していない中国や韓国との経済連携を積極的に進めることは、日本にとって非常に重要なことだと考える。
 日本・中国・韓国は二〇一三年三月から日中韓FTA交渉を行っている。中国や韓国との経済連携のアプローチに関しては、日中韓三国でのマルチFTAによるもの以外に、TPPによるもの、RCEPによるもの、二国間FTAによるものなど、様々なものが考えられる。
 政府としては中国や韓国との経済連携協定に関し、どのような姿勢と方針で臨むのか、今後の方向性と妥結の見通しについて説明されたい。

二 政府は、TPPに関して拡大の方向性を示している。二〇一六年十一月に政府は、フィリピン、韓国、台湾、インドネシア、タイなどがTPPへの参加に強い関心を示しており、TPPへの新規加入を広げていくように取り組んでいく旨言明している。
 また最近も、「コロンビア、タイ、英国、台湾など、様々な国、地域がTPPへの参加に関心を示していることを歓迎したい」と答弁している。
 TPPへの新規加入に興味を示しているこれらの国・地域のTPPへの加入の可否について、政府はそれぞれどのような方針や基準で判断するのか。例えば、経済的な要素のみで判断するのか、国際関係も含めた政治的な基準も考慮にいれるのか。TPPへの新規加入の可否についての方針や判断基準を明らかにされたい。

三 TPPへの新規加入を希望する国・地域があった場合、加入に向けた交渉にあたっては、どのような条件を示して個別の事前協議を行うのか。例えば、我が国がTPPにより受ける貿易転換効果に係るメリットが、TPPへの新規加入国により減殺されることのないような条件について事前協議することが可能なのか、具体的に答弁されたい。

四 RCEPについては、これまでのところ、中国は関税やルール分野について大きく自由化せず早期の合意を図る立場であり、インドなど新興国の支持の取り付けを狙っている旨報道されている。その一方で、我が国はTPP同様のハイレベルな協定を目指すとしている。RCEPの妥結を目指すにしても、交渉参加国によって立脚点に大きな違いがある中、政府が目指す方向性で、中国やインドといった東アジア地域の大国を巻き込んだ形でRCEPを妥結できるのか、見通しを示されたい。

  右質問する。