質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一二六号

気候変動適応法における情報の収集に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年六月六日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   気候変動適応法における情報の収集に関する質問主意書

 今国会で成立した気候変動適応法に規定されている気候変動等に関する情報の収集のうち、特に国立研究開発法人国立環境研究所(以下「国立環境研究所」という。)の機能や、企業の得た情報の収集の重要性等に関し、以下の通り質問する。

一 気候変動適応に関する施策(以下「適応策」という。)の実施において国全体としての総合的な体制整備などが必要なのはもちろんだが、気候変動による被害の現れ方は、栽培している農作物の種類や地形など、それぞれの地域の特性により大きく異なる。したがって、国立環境研究所が本法に基づいて、気候変動影響及び気候変動適応に関する情報の収集、整理、分析及び提供(以下「情報の提供等」という。)を行うにあたっては、地域ごとの適応策を推進することの重要性に配慮することが重要ではないかと考える。
 本法では、国立環境研究所に情報基盤の中核としての役割が与えられており、国と地方の連携などのために、地域気候変動適応センターや気候変動適応広域協議会などに関する規定も整備されたものと承知している。しかし、国の研究機関である国立環境研究所が、地域ごとにきめ細かく策定していく必要のある適応策について、どのように情報の提供等を実施していくのか、具体像が見えない。適応策の実施において都道府県及び市町村それぞれの果たす役割が大きいとするのであれば、地域によって適応策への取り組み方に濃淡があるとされる現状において、国立環境研究所は、都道府県及び市町村への情報の提供等についてどのように対応していくのか見解を伺う。

二 適応策を適切に実施していくには多くの情報を収集していく必要があり、国立環境研究所がその中心となることが期待されている。しかし、経済活動の中心である企業が事業活動で入手した気候変動に関する情報(以下「企業入手情報」という。)をどのように集めていくのかが課題となる。企業入手情報は、企業が自身の事業に活用するだけではなく、関係する業種や、当該企業が所在する地方自治体においても共有し、活用していく必要があると考える。
 企業入手情報について、衆議院環境委員会における法案審査では、それぞれの企業の事情があるため、提供を義務化することはできない旨の答弁があった。政府の気候変動適応に対する姿勢は後ろ向きであり、企業の気候変動影響に対する意識もあまり高いとは言えない中で、国立環境研究所が企業入手情報を収集できるのか疑問である。また、国立環境研究所が企業入手情報を収集する際には企業秘密などを害さない工夫も必要だと考える。企業入手情報について、どのようにして企業から提供の協力を得ようと考えているのか、政府の所見を伺う。

三 国立環境研究所が収集した気候変動影響及び気候変動適応に関する情報を、国民や企業にも提供し、有効活用すべきと考えるが、政府の方針を示されたい。

  右質問する。