質問主意書

第196回国会(常会)

質問主意書


質問第一〇八号

発進準備中の戦闘機に対する給油等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成三十年五月十七日

大野 元裕   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   発進準備中の戦闘機に対する給油等に関する質問主意書

 重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(以下「重要影響事態法」という。)及び日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定(以下「日米ACSA」という。)に基づく、これまで米側から我が国に対する協力の要請の内容として想定していないとされていた発進準備中の戦闘機に対する給油等について、以下の通り質問する。

一 平成二十七年九月二十九日に提出された「参議院議員藤末健三君提出大森政輔元内閣法制局長官の参議院平和安全法制特別委員会における参考人質疑の際の答弁内容に関する質問に対する答弁書」(内閣参質一八九第二九〇号)では、「我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律による改正前の周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(中略)に規定する戦闘作戦行動のために発進準備中の航空機に対する給油及び整備は、同法の立案に当たり、後方地域支援として我が国が実施する支援措置の内容を検討する過程において、米側から我が国に対する協力の要請の内容として想定していないとの説明があった事柄であり、政府として、そのような支援措置は実施しないことを規定上明らかにした」とあるが、重要影響事態法の立案にあたり、米側から発進準備中の戦闘機に対する給油及び整備につき我が国に対する協力の要請の内容として想定しているとの要望があったのか明らかにされたい。また、要望があった場合、具体的にいつ、どのような形で要望が行われたのか併せて示されたい。

二 前記一と同様に、日米ACSAの締結にあたり、米側から発進準備中の戦闘機に対する給油及び整備につき我が国に対する協力の要請の内容として想定しているとの要望があったのか明らかにされたい。また、要望があった場合、具体的にいつ、どのような形で要望が行われたのか併せて示されたい。

三 前記一並びに前記二において、米側から当該要望があった場合、当該要望は、発進準備中の戦闘機に対する給油及び整備について、いかなる状況下で行うことが想定されていたのか。

四 我が方の移動する艦艇から発進を準備している戦闘機、たとえば自衛隊保有のDDHから発艦する米F-35B戦闘機に対する給油及び整備が可能であるとする場合、このDDHは広範囲への移動が可能であり、様々な場所で当該活動がなされる可能性があるため、「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点」と「DDHから発艦する米F-35B戦闘機に対する給油及び整備がなされる場所」との地理的関係は、時々刻々と変わり得る。政府は、平成二十七年六月九日付け政府統一見解「他国の武力の行使との一体化の回避について」の2において、「戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点と当該行動がなされる場所との地理的関係」を我が国の活動が他国の武力の行使と一体化するかの判断基準の一つとして挙げているが、前記の例のように給油等の活動中に地理的関係が変わり得る場合においては、いかなる「地理的関係」にあるときに、「他国の武力の行使との一体化」を回避していると解釈しているのか、具体的に示されたい。

五 前記四については、たとえばイラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法第二条第三項において規定されていた、現に戦闘行為が行われておらず、かつ、そこで実施される活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがないと認められる地域という非戦闘地域の概念は維持され、当該DDHによる補給を行う地域は非戦闘地域に限定されるのか。その場合、DDHの活動の期間は予めいかにして定められるのか。

六 前記四で引用した政府統一見解にある「地理的関係」とは、戦闘活動が行われている、又は行われようとしている地点との間の距離的関係を意味するのか。仮にそうであるならば、どの程度の距離であれば、「他国の武力の行使との一体化」を回避し得ると考えるか。

  右質問する。